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高円宮杯で未来のA代表CB発見!
優勝の鹿島ユース、町田浩樹への期待。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2015/12/15 18:20
町田浩樹は2016年シーズンから鹿島のトップチームに昇格する。日本代表になれるのか……楽しみである。
リーグ最少失点を実現した「気づき」。
「僕はCBとして、インターセプトをするとか、ラインを統率する、良いパスを通すとか、『綺麗なプレー』ばかりしようとしていました。そうじゃなくて、切るところは切る、ボールに行くところは行くと、メリハリをつけないといけない。中田さんのアドバイスもそうですが、『綺麗なプレー』というより、もっと『賢いプレー』をしていかないといけないことに気付いた」
この「気付き」は少年を大人にした。
CBにとって大事なのは、格好ではなく、相手にとって嫌なことを常にすること――。
相手との駆け引きで上回り、時には華麗に、時には激しく、時には泥臭くプレーをしないといけない。自分の考えとプレーに整理が付いた町田は、更なる成長を遂げた。
鹿島ユースとしてプレーしている今季のプレミアリーグイーストでは、鉄壁の守備の中心にいた。カウンターのときには一気にラインを押し上げ、ここは我慢という場面ではラインを下げて強固なブロックを構築。CBとして相手に傾きかけた流れを切る守備を見せ、個としても、精度の高い左足のキックでカウンターの起点として十二分に機能した。逞しく成長したCBに牽引されたチームは、18試合でリーグ最少の12失点で、初優勝を勝ち取るに至る。
G大阪の攻撃と鹿島の堅守の勝負。
そして、ウェストの王者・G大阪ユースとの間で行われた、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015チャンピオンシップ。
ユース世代の真の日本一を決めるこの一戦。G大阪ユースはFW高木彰人、MF堂安律、市丸瑞希というトップ昇格メンバーを軸に、攻撃的なサッカーを展開するチームなだけに、町田が中心となって構築する堅守との攻防は、最大の注目ポイントだった。
試合が始まると、町田の動きが重いのがすぐに分かった。「何かがおかしい」と思いながら、試合を見ていると、ボールに対する出足が明らかに遅い。ベンチの熊谷浩二監督もすぐに異常を感じ取ったようで、アンカーの千葉健太を呼んですぐに対応策を施していた。
「試合前のミーティングで、アンカーの千葉には、ラインを高くしてDFラインに吸収されないように指示をしたが、町田のコンディションが良くなく、相手の2列目に飛び出されてしまっていたので、千葉に町田のカバーを指示しました」(熊谷監督)
試合後、町田本人に話を聞くと「体調を崩してしまいました……。もっと出来ると思ったのですが、難しい面もありました」と、発熱によりコンディションが万全ではなかったことを告白した。
結局、試合中に町田のコンディションが悪いことに気付いてから、その観察ポイントを「コンディションが悪い中で、どんなプレーの工夫が出来るか?」を見極めることに変えた。