ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER

アメリカは20代が7戦連続で優勝中。
日本男子ゴルフが若者に厳しい事情。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2015/11/05 10:40

アメリカは20代が7戦連続で優勝中。日本男子ゴルフが若者に厳しい事情。<Number Web> photograph by Getty Images

石川、松山以下の世代の日本人で唯一優勝経験を持つ川村昌弘。

試合が少なすぎるのが、日本男子の問題点。

 当然、ひとつ疑問が浮かんでくる。なぜ、日本ツアーでは似た事例がなかなか起こらないのか。道具の進化が目覚ましい昨今では、最新のクラブに慣れ親しんで育った若い世代に有利という意見もある。時代を反映した傾向が米国では見られても、どうも国内では様子が違う。

 要因を考察する手掛かりになりそうなのが、中堅選手が口にしていた言葉である。

 谷原秀人はプロ15年目の今季までに通算10勝。2003年に初勝利を挙げてから、シードを一度も失っていない。その36歳が以前話していたのは、若い選手の活躍の場に関する見方である。

「いまの若手はかわいそう。試合数が少なすぎる。ベテランの選手でもほとんど全部の試合に出られるんだから。それでは、なかなか勝てるチャンスもない」

米ツアーは45試合、日本男子は25試合。

 年間を通じて行われるプロのトーナメント。米ツアーは1シーズンで約45試合が行われているが、すべての試合に出場する猛者など皆無である。コースとの相性や、心身の体力と相談しながら、それぞれがスケジュールを練る。トップクラスの選手になれば、メジャーや世界選手権(WGC)といったビッグイベントに照準を合わせて、意図的に試合を欠場して休養や練習に時間を割いている。

 出場機会に乏しく、経験のまだ浅い気鋭のプレーヤーにとっては、そういった超一流選手たちがいないトーナメントこそがチャンス。上位争いを経験し、勝負勘を磨く。実際に、先述した今季の米ツアー開幕3試合、1度でも出場した世界ランク10位以内のプロは3人だけだった。

 つまりシーズンの開催試合数が多く確保されていれば、ニューフェイスが台頭する確率も上がる。この意味では、大会の開催を希望するスポンサーが列をなしている日本の女子ツアーも同じと言えるだろう。次々と若手が台頭する好循環。しかし男子ツアーは今年はじめの時点では27試合が予定されていたが、2試合が土壇場で中止となるなど、苦境が続いている。

【次ページ】 下部ツアーの環境がトップと違いすぎる?

BACK 1 2 3 NEXT
石川遼
松山英樹
川村昌弘
ジョーダン・スピース
黄重坤

男子ゴルフの前後の記事

ページトップ