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暴露本には沈黙、ニュースは発信。
ウッズは今、何をしているのか。
posted2015/11/08 10:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
「目標はタイガー・ウッズです」
「タイガーと優勝争いして勝つのが夢です」
そんな言葉を若きプレーヤーたちが口にしていたのも今は昔。米ツアーにやってくる最近の若者たちは、特定の選手の名前を掲げるのではなく、「世界一になりたい」、「メジャーで勝ちたい」という具合に普遍的な事柄を目標に掲げるようになった。
特定の選手に憧れを抱いているのは、ウエブドットコムツアーや草の根のミニツアー、そしてカレッジゴルフで腕を磨く米ツアー予備軍たち。彼らは、赤貧に喘ぐ大学生活から抜け出して瞬く間にメジャーチャンプへ、世界一へとスターダムを駆け上っていったジョーダン・スピースに夢を馳せ、スピースの名前を「スピード出世」を意味する動詞に変えて「僕もジョーダン・スピースしたい」と目を輝かせている。
ハロウィーンのころには、スピースと彼の相棒キャディ、マイケル・グレラーそっくりの出で立ちでゴルフ場に現れたチビッコ・ペアのなんとも愛らしい写真がSNSを賑わわせていた。
幼い子供からプロゴルファー、そして米ツアー選手に至るまで、ゴルフ界の「夢」や「憧れ」の世界において、かつての王者タイガー・ウッズの出る幕は、もはや無くなりつつある。
ウッズの現状を把握できている人は?
その代わりに、と言ったら、かつての王者に少々失礼かもしれないが、人々の側からウッズの名前がちっとも挙がらない昨今、ウッズの側から出されるゴルフ以外の「ニュース」ばかりがやけに目立つ。
ウッズの健康状態にまつわる「ニュース」は実に目まぐるしい。故障と治療、手術とリハビリ、さらには長期に渡る戦線離脱を繰り返し、復帰すれば必ず「僕の肉体は今までで最高の状態」と言う。だが再び故障し、またまた手術、リハビリ、戦線離脱……。
きっとゴルフファンの方々は、ウッズが今、健康なのか、故障しているのか、わからなくなっているのではないだろうか。故障して欠場しているとしても、どこがどう悪くて、どんな治療をしているのか。ウッズの現状を把握できている人は決して多くはないだろう。
最近で言えば、ウッズは昨季終盤のプレーオフシリーズ進出を目指し、レギュラーシーズン最終戦のウインダム選手権に出場したが、今のところそれが彼が出たラストトーナメントになっている。
その後は、今季開幕戦のフライズ・ドットコム・オープンに出場すると発表したが、発表直後に腰の手術を受け、結局開幕戦もその後に予定されていた催し的な大会も、すべて欠場せざるを得なくなった。