錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭のライバルは誰になるのか?
“ポスト・ビッグ4”世代を考える。
posted2015/08/24 16:05
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
全米オープンの前哨戦として重要なシンシナティ・マスターズの決勝戦は、ノバク・ジョコビッチとロジャー・フェデラーのトップ2対決となったが、錦織圭が出場していたらどう絡んでいただろう――。
錦織が疲労のため欠場したこの大会、ドローで錦織が抜けたところに入った予選上がりのアレクサンドル・ドルゴポロフ(26歳)が準決勝まで進み、本調子でないジョコビッチをあと2ポイントのところまで追い込んだ事実から、そんなことを考えずにはいられない。
グランドスラムとともにマスターズシリーズの優勝は、なお錦織にとって未到達の目標であり続けている。
2011年以降、〈ビッグ4〉以外でマスターズシリーズを制したのはダビド・フェレール、スタン・ワウリンカ、ジョーウィルフライ・ツォンガの3人しかいないのだが、今やビッグ4の中に割って入る存在の錦織には、それは避けられない命題のようなものとなっている。
スリリングなライバル物語がテニス界には必要。
それにしてもあらためて驚かされるのは、ビッグ4の支配力とこれが41回目となったジョコビッチとフェデラーの対戦回数である。
両者20勝ずつという34歳と28歳の過去の対戦成績は、フェデラーがこれで1つ勝ち越した。なお、ジョコビッチ対ラファエル・ナダルはナダルの23勝21敗で、かつて確固たる2強時代を築いたフェデラーとナダルは、回数でも拮抗具合でもこの2つのケースには及ばないが(ナダルの23勝10敗)、史上最強で最高と呼ばれたライバル関係は、数字に表れない部分も多分にある。
ライバルの図式はスポーツをよりエキサイティングにするもので、過去10年間のテニス界がこれほどの人気の高騰を実現したのは、スリリングなライバル物語が1本ならず2本3本と紡がれてきたからだろう。
そして今テニス界が強く求めているのは、〈ポスト・ビッグ4〉世代を主役とする新たなライバル物語である。