プロ野球亭日乗BACK NUMBER
交流戦はリーグ優勝への試金石?
好調DeNAは“実力のパ”を倒せるか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/05/22 12:15
4番・筒香を筆頭に、生え抜きの若手がDeNAの快進撃を牽引している。就任4年目の中畑監督が悲願のリーグ優勝を果たすためにも、5月26日に始まる交流戦の戦い方がカギになる。
過去10年間、パは大幅にセに勝ち越している。
ただ問題は、果たしてこれが本当のチーム力なのか、それとも単なる勢いなのか、ということ。実はこの力を計る試金石となるのが、5月26日からのセ・パ交流戦ではないだろうか。
かつて“実力のパ、人気のセ”と言われた両リーグの構造は、いまもなおこの交流戦を見る限りは生きている(人気のセという言葉に異論はあるかもしれないが……)。
2005年に交流戦が始まって以来、過去10年間はパ・リーグチームが804勝730敗(50分)と圧倒的な勝率を誇り、リーグ別の対戦成績も10年間でパ・リーグの9勝1敗と完勝だ。セ・リーグでは'12年と'14年に巨人が優勝したが、それ以外はいずれもパ・リーグのチームが栄冠を手にしている。
この結果には様々な評価がある。ただ1つ、ガチガチの力勝負になるとパ・リーグのチームの力がより出やすい、それだけのタレントが揃っていると言えるのではないだろうか。
昨年の日米野球でも、侍ジャパンに選ばれた若手選手はパ・リーグの球団の方が圧倒的に多かった。パ・リーグの選手は指名打者制度による影響もあり、チーム同士の駆け引きよりも力勝負に慣れている。個の力のパ・リーグに組織野球のセ・リーグという構図は、少なからず今でも生きているわけである。
昨年の広島は、今年のDeNAと同じ立場だったが……。
その中でセ・リーグの球団が交流戦を勝つためには、どういう道があるのか? 1つの答えは昨年の巨人にある。
昨年の巨人は、リーグ戦同様に交流戦でもチーム総得点は7番目(100得点)ながら、総失点は最少タイの76点と守り勝つ野球で2度目の優勝を果たした。
一方、対照的だったのが広島である。
昨年の広島は開幕から投打の歯車ががっちり噛み合って絶好のスタートダッシュを決めた。3、4月を18勝9敗で乗り切ると、交流戦開幕直前の巨人との3連戦も2勝1敗で勝ち越し。この時点で27勝15敗の貯金12で首位と、まさに今年のDeNAのように優勝への期待を膨らませていた。
ところが5月20日からのソフトバンク2連戦、続くオリックスとの2連戦に連敗していきなり4連敗。さらに6月3日から悪夢の9連敗を喫してチーム状態は一気に転落していったのである。