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浦和が示したセットプレー止め方講義。
FC東京の「武器」を封じた方法とは?
posted2015/05/18 11:55
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
流れの中からのビューティフルゴールであれ、セットプレーからの地味なゴールであれ、1点は1点。スペインのアトレティコ・マドリーを率いるディエゴ・シメオネは、こう語ったことがある。
「セットプレーで勝利を収めていることについて、私は何も心配していない。それもプレーの一部だ」
Jリーグの中で“シメオネ的思考”を持っているのが、FC東京のマッシモ・フィッカデンティ監督だ。
彼らは試合前日になると、1時間半近くをかけて徹底的にセットプレーの練習を行なう。PKでの1点を含めると、FC東京は今季の15得点中8点、割合にして57.1%をセットプレーから決めている。
わかっちゃいるけど、止められない。
もちろん対戦相手は、FC東京の武器がセットプレーであることを認識している。それでも太田宏介の鋭いキックと、巧みにマークを剥がす森重真人や武藤嘉紀の動きに翻弄され、セットプレーからのゴールと勝ち点3を献上してきた。
わかっちゃいるから、止めてやる。
5月16日の第12節でこのミッションに挑んだのが浦和だ。ホームでの首位攻防戦、浦和が首位の座を守るためには、いかにFC東京のセットプレーを封じるかが大きなカギだった。そして彼らは8本のCKと4本のゴール付近でのFKを防ぎ切り、見事に4-1で勝利した。
前節の仙台戦。セットプレーから失点していた浦和。
では、いかにして浦和はFC東京のセットプレーに対抗したのか。
1つ目の工夫が人の配置だ。
浦和は相手のCKやFKの際、基本的にマンマークで守る。ただし、ニアサイドの危険なエリアには「ストーン」と呼ばれるフリーマンが立ち、クロスを跳ね返す。前節の仙台戦では、ニアサイドに宇賀神友弥、ゴール中央に柏木陽介がストーンとして立った。しかし、65分のCKの場面では宇賀神の前に走り込んだ仙台の菅井直樹にヘディングで流され、ファーサイドの渡部博文に決められた。PKを除けば、浦和が今季初めて喫したセットプレーからの失点だった。
そこでFC東京戦では、ストーンの配置に変化を加えた。