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日替わり打線に女神は微笑まない。
オリックスは駿太を軸に据えよ! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/04/12 11:10

日替わり打線に女神は微笑まない。オリックスは駿太を軸に据えよ!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ドラフト1位での入団から早5年目を迎えた22歳、駿太。昨年は117試合に出場、強肩を生かした持ち前の守備能力は既に評価が高い。打撃を向上させ、低迷するオリックスの救世主となれるか。

'90年代の巨人、'00年代の阪神の二の舞か。

 開幕前は多くの評論家同様、私もオリックスは強いと思っていたが、不安要素は認識していた。戦力のだぶつきによって選手起用に覚悟が生まれない。私の考える最大の不安材料はそれである。'90年代の巨人、'00年代の阪神がまさにそういう状態だった。

 FA制度に加え、圧倒的な人気と豊富な資金力を背景に他球団の主力選手が続々と入団を果たし、巨人などは「史上最強の戦力」と形容される時期もあった。しかし、長嶋茂雄監督が指揮を執った2期目('93~'01年)は、9年間でリーグ優勝3回、日本一2回と、投下した資金の差ほどには成績は飛び抜けていない。星野仙一氏が監督に就任した'02年以降の阪神にいたっては、13年間でリーグ優勝2回と巨人よりも成果が上がっていない。

 パ・リーグでは'14年のソフトバンクが、中田賢一(中日)、鶴岡慎也(日本ハム)、李大浩(オリックス)、スタンリッジ(阪神)、ウルフ(日本ハム)、サファテ(西武)と大量補強に動き、3年ぶりのリーグ優勝、日本一につなげた。'90年代の巨人や'00年代の阪神より直近のソフトバンクの成果のほうが記憶に新しいので、オリックスも大補強に動いたのかもしれないが、最近のパ・リーグの躍進を見れば、選手は「多すぎず、少なすぎず」くらいのほうが采配を振るう監督に覚悟が生まれ、好結果が出ることが多い。ソフトバンクはむしろパ・リーグで例外的な存在なのだ。

打順を固めるのに苦労している森脇浩司監督。

 森脇浩司・オリックス監督の選手起用を見ると、1勝4敗で尻に火がついた4月2日以降、打順が一定していないのがわかる。

●4/2ソフトバンク
1 駿太   (中)
2 平野恵一 (二)
3 糸井嘉男 (右)
4 中島裕之 (一)
5 T-岡田  (指)
6 小谷野栄一(三)
7 坂口 智隆(左)
8 安達 了一(遊)
9 山崎 勝己(捕)

●4/3日本ハム
1 ヘルマン (指)
2 平野恵一 (二)
3 糸井嘉男 (右)
4 中島裕之 (一)
5 坂口智隆 (中)
6 小谷野栄一(三)
7 T-岡田  (左)
8 安達了一 (遊)
9 伊藤光  (捕)

●4/4日本ハム
1 ヘルマン (指)
2 平野恵一 (二)
3 糸井嘉男 (右)
4 中島裕之 (一)
5 T-岡田  (左)
6 坂口智隆 (中)
7 小谷野栄一(三)
8 安達了一 (遊)
9 伊藤光  (捕)

●4/5日本ハム
1 ヘルマン (指)
2 平野恵一 (二)
3 糸井嘉男 (右)
4 中島裕之 (一)
5 T-岡田  (左)
6 小谷野栄一(三)
7 坂口智隆 (中)
8 安達了一 (遊)
9 伊藤光  (捕)

【次ページ】 ベテランの補強で若手の出場機会が減らされ……。

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