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選手権ベスト4進出の流通経済大柏。
練習時間の短縮が生んだ意識改革。
posted2015/01/09 16:30
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
KYODO
聖地が、国立競技場から埼玉スタジアムに移った第93回全国高校サッカー選手権。残すは10日の準決勝、そして12日の決勝の3試合だけとなった。
昨夏のインターハイ王者で、中島賢星(→横浜FM)、増山朝陽(→神戸)とふたりのJ内定者を擁した東福岡(福岡)が3回戦で静岡学園(静岡)に0-3で敗戦するなど“一発勝負”のトーナメントの怖さを思い知らされる結果となった。
その紙一重を切り抜けて準決勝まで勝ち進んできたのが、流通経済大柏(千葉)だ。今大会に出場した高校の中で、Jクラブの下部組織、高体連のチームが年間を通して戦う最高峰のリーグ「高円宮杯プレミアリーグ」に所属するのは東福岡、京都橘(京都)、青森山田(青森)、そして流通経済大柏の4校だけということもあり、開幕前から優勝候補の一角として見られていた。
しかし、ここまでの勝ち上がり方は決して順風満帆だったわけではない。昨年の大晦日に行なわれた初戦・作陽(岡山)戦では、一時は2-0とリードしながらも、3点を奪われて逆転を許した。後半アディショナルタイムに何とか追いつき、PK戦も8-7までもつれ込む辛勝発進となった。また、続く2回戦の矢板中央(栃木)戦もPK戦での勝利、3回戦の水橋(富山)戦も後半36分のFW高沢優也のゴールで勝ち越すなど、薄氷を踏むような戦いの連続だった。
11年続いていたインターハイ出場が途切れた。
また、今年度を振り返ってみても、流通経済大柏は1度苦渋を味わっている。それは冬の高校選手権とともに高校生にとってのビッグタイトルである、インターハイ県予選でのことだ。準決勝で習志野に1-2で敗戦し、昨年度まで11年続いていた本戦への出場権を確保することができなかったのだ。2013年度はプレミアリーグEASTとWESTの優勝チーム同士が戦うチャンピオンシップを制した強豪校だが、代が変わってのチーム作りに四苦八苦していた。
それでも選手権では、際どい戦いの中でも勝ち切る流れを作り上げてきた。粘り強い戦いぶりを身につけたターニングポイントは、11月に行なわれた千葉県大会決勝にあったように思う。