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選手権ベスト4進出の流通経済大柏。
練習時間の短縮が生んだ意識改革。 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byKYODO

posted2015/01/09 16:30

選手権ベスト4進出の流通経済大柏。練習時間の短縮が生んだ意識改革。<Number Web> photograph by KYODO

全国でも有数の激戦区である千葉県予選を勝ち抜き、選手権でも強さを見せている流通経済大柏。選手権の優勝は2007年度のみ。2度目の戴冠なるか。

市立船橋を相手に演じた逆転劇。

 決勝戦の相手は、流通経済大柏と同じく「プレミアリーグEAST」に所属する市立船橋。試合序盤こそ流通経済大柏のペースで試合が進んだが、市立船橋のGK志村滉(磐田に入団内定)を中心にした守備、そして“市船らしい”スピード感ある攻撃に手を焼き、流通経済大柏は0-2と2点のビハインドでハーフタイムを迎えた。

 正直なところ、前半の出来を見る限りでは、流通経済大柏が逆転するのは難しいと感じていた。実際、流通経済大柏を率いる本田裕一郎監督に前半を折り返した時点の心境を聞くと「正直、2点は想定外だった」と苦笑しながら語っていた。

 しかし、後半の流通経済大柏は一転してたくましい戦いぶりを見せた。FC東京への入団が内定したDF小川諒也がセットプレーからのヘディング、そしてPKで2得点を挙げると、後半35分に途中出場のFW福井崇志がダイレクトシュートを叩き込んで逆転。全国切符を手繰り寄せたのだった。

ドルトムントに3週間の視察を行なった本田監督。

 劇的な逆転を生んだ要因は、シンプルながら最後まで走り負けず、攻め続ける姿勢だった。指揮官や選手に話を聞いてみると、その要因の1つに「練習の変化」があったように感じた。

 応援団からの大声援が鳴りやまない中で話をしてくれた、殊勲の小川と福井。苦しかったチーム状況が好転したタイミングについて聞くと、異口同音に高校総体の県大会予選敗退直後に本田監督が取った行動について触れた。

「本田監督が夏にドイツに視察へ行っていたんですが、帰ってきてから練習のスタイルが大きく変わりました」

 詳しく聞いてみると、8月に本田監督は単身でドイツへと渡り、3週間にも及ぶ視察を行なったという。

 訪れたクラブは、香川真司の所属するボルシア・ドルトムント。

 ドルトムントと言えば、今季こそブンデスリーガで不調に陥っているが、ユルゲン・クロップ監督が選手たちに授けた「ゲーゲン・プレッシング」で欧州戦線に旋風を巻き起こしたことは記憶に新しい。

【次ページ】 リーグではポゼッション、選手権では縦の速さ。

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