野球クロスロードBACK NUMBER
大一番で見せた“4番・中田”の輝き。
収穫を得た日本ハムに下克上の予感。
posted2014/10/15 11:40
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
NIKKAN SPORTS
膠着した試合に終止符を打ったのは、4番のバットだった。
パ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦。1-1で迎えた10回、オリックスの守護神・平野佳寿の150kmのストレートを完璧にとらえた打球は、センターバックスクリーン上段へと突き刺さった。
「真っ直ぐ一本に絞っていました。本当に気持ちよかったね。やばかったです。今年、最高のホームランでした」
チームをファイナルステージへと導く殊勲打を放った日本ハムの中田翔がそう自画自賛すれば、栗山英樹監督も「これが本当の4番」と主砲の働きに目を細めた。
勝敗を分けた、両軍の4番の働き。
ファーストステージを振り返れば、両軍ともに投手陣はシーズン同様のパフォーマンスを披露した。
その一方で、打線は湿りがちだった。
チームにとって誤算だったとすれば、3番の大ブレーキ。そんななか、勝敗のカギを分けたのが4番だった。
オリックスは、自己最高の3割3分1厘をマークし首位打者となった糸井嘉男が3試合で12打数1安打と機能できなかった分、4番のT-岡田が奮起した。
右大胸筋の炎症により欠場を余儀なくされたペーニャに代わって大役を任されたT-岡田は、第2戦、3-4と1点リードされた8回に逆転3ランを放ちチームを救った。
しかし、3戦トータルで見れば10打数2安打。第3戦の8回、2死三塁の勝ち越しのチャンスで空振り三振に倒れるなど、大事な場面での1本が出なかったことが悔やまれる。
日本ハムも、3番・陽岱鋼のバットが完全に沈黙した。
レギュラーシーズンでは、打率2割9分3厘、25本塁打、85打点と三部門全てでキャリアハイを達成した陽岱鋼だったがファーストステージでは3試合で14打数1安打、8三振。得点圏に至っては6打数無安打で、うち5打席で三振と散々な内容だった。
そんな不振に喘ぐ3番を見事にフォローしたのが、中田だったのだ。