野球クロスロードBACK NUMBER
大一番で見せた“4番・中田”の輝き。
収穫を得た日本ハムに下克上の予感。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/15 11:40
値千金の一発に中田は「気持ち良かった。ヤバかったです。完璧でした。今年始まって一番最高の本塁打」とコメントしている。
ファイナルで待つ、ソフトバンクが抱える不安。
日本ハムの打線が、全体として好調というわけではもちろんない。しかし、ソフトバンクからすれば、1勝のアドバンテージはあれど、日本ハムの4番の決定力と下位打線の爆発力は侮れない。
なぜなら、ソフトバンクは今、投手陣に不安があるからだ。
攝津正、中田賢一、スタンリッジと主戦投手全員がシーズン最後の登板で6失点するなど精彩を欠き、以来、実戦登板から遠ざかっているため不安は拭いきれない。
中継ぎ投手陣も、ホールド王の五十嵐亮太が9月25日の楽天戦で4つの押し出しを含む5四球と大乱調したことは、まだチームの苦い記憶として残っているはずだ。ルーキーながら24HPと、セットアッパーの地位を確立した森唯斗にしても、オリックスとの最終戦で同点打を浴びるなど後味の悪さを残している。
投手陣をカバーしうる、12球団随一の打線。
それでも、不安定な投手陣をカバーしうるだけの打線が、ソフトバンクにはある。
パ・リーグでは断トツ、12球団でもトップを誇るチーム打率2割8分。下位打線に目を向けても、6番の中村晃はリーグ最多の176安打をマークし、7番の吉村裕基には一発もある。8番の細川亨が繋ぎ、足がある9番の明石健志が小技でかき回すことができれば、数多くのチャンスメイクが可能となる。
本塁打こそリーグ5位の95本だが、得点数は1位の607。ソフトバンク打線は、そうやってレギュラーシーズンを制したといっていい。