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ドルトムント復帰は“運命”だった。
香川真司、不運の2年間と古巣の絆。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/09/01 11:20

ドルトムント復帰は“運命”だった。香川真司、不運の2年間と古巣の絆。<Number Web> photograph by Getty Images

8月31日にドルトムントへの入団発表を行なった香川真司。バイエルンを倒してのリーグ制覇に導いた「エース」をファンは待ちわびていた。

新システム、負傷、3部に大敗と続く不運。

 ファンハール就任で状況は好転するかに思われた。新監督が好む足下で素早く繋いで攻めるサッカーのスタイルは香川に向いている。だが、ウィンガーとSBに真の一線級がいないチーム事情を考慮した結果なのだろうが、基本システムが3-4-1-2に変更された。ウィングバックはもちろん、センターハーフとしても機能が難しい香川にとっては、マタが君臨するトップ下の控えに甘んじるしかないシステムだ。

 不運の極めつけは、ファンハールに今季初出場の機会を与えられた8月26日のリーグカップ戦。トップ下で先発した香川は前半20分に負傷退場を強いられた。しかも、マンUは3部リーグのMKドンズに大敗(0-4)。指揮官に与えた印象は、屈辱の敗戦で戦力にならなかったという類だっただろう。香川にとっては不運と苦渋に満ちた2年間を象徴するような、マンUでの最終戦となった。

香川とドルトムントの「絆」は薄れていない。

 運も実力のうちと言われるが、自力では如何ともし難い状況を改善するには、環境自体を変えるしかない場合がある。「帰還」による変化の前例には、一足先にレンタルでクリスタルパレスに戻ったウィルフレッド・ザハがいる。

 21歳のFWは、ファーガソン時代の昨年1月にマンU入りが決まったが、いざ入団してみたらモイーズ体制下でほぼ無視に近い扱いをうけた。昨季前半戦は2試合出場のみで、後半戦は最下位で降格したカーディフに預けられる始末。ユース上がりの古巣に残っていれば、主力として通年でプレミアのピッチを経験できていたはずだ。成長期の1年を無駄にし、無得点に終わったザハには精神的ダメージも心配された。

 だが、クリスタルパレスに復帰しての初戦、今季初出場となった第3節で、ザハには土壇場の同点ゴールという幸運が待っていた。

 香川とドルトムントを結ぶ「絆」の強さは、ザハとクリスタルパレスにも負けていない。2年前に涙で別れを惜しんだユルゲン・クロップ監督といい、マンUからの「シンジ解放」を訴え続けたファンといい、相思相愛の状態だ。帰還を告げるクラブの公式ツイートには、タッチライン際で向き合うクロップと香川の写真に「帰ってきた!」の文字があった。

【次ページ】 香川はドルトムントに戻る運命にあった。

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