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新生ミランの鍵を握る“パサー”本田。
フィニッシャーが揃う前線との好相性。

posted2014/08/29 11:50

 
新生ミランの鍵を握る“パサー”本田。フィニッシャーが揃う前線との好相性。<Number Web> photograph by AFLO

ミランのレジェンド、インザーギはトップリーグで指揮を執るのははじめて。彼の船出が順調なものになるかどうかは、本田圭佑の出来にかかっている。

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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 この男たちにかけたい。かけてみたい。

 低迷脱出を図るミランが、再建の第一歩となる新シーズンを新監督フィリッポ・インザーギとMF本田圭佑の2人に託す。

 ミランの夏は、慌ただしく過ぎた。

 昨季よもやの8位に沈んだ名門は、挽回の切り札としてプリマベーラの監督だったインザーギを抜擢。ほんの数年前まで、欧州中のGKを震え上がらせてきた伝説のストライカー“スーペルピッポ”が、早くもセリエAの現場へ帰ってきたのだ。

 情熱派の新指揮官率いる新生ミランは、欧州の列強クラブに交じって、7月下旬から北米での「GICC(ギネス・インターナショナル・チャンピオンズカップ)」へ勇んで参加した。だがオリンピアコス、マンチェスター・C、リバプールを相手に合計10失点を喫し、あえなく3戦全敗。新監督は、現実の厳しい洗礼を受けた。

インザーギの新布陣の鍵は、本田のコンバートだった。

 何より不安視されたのが、黒星そのものや集中力に欠けた守備陣より、3戦でわずか1ゴールに終わった貧弱な得点力だった。

 形を問わず、いつでも泥臭く、インザーギはキャリアを通して288回もゴールネットを揺らしてきた。その伝説のFW率いるチームが得点する方法を見つけられない、というのは大きなジレンマだった。

 今夏、クラブのアイドルだったFWカカが去り、悪童FWバロテッリも放出された。代わりにパリSGからFWメネズが獲得され、昨季故障がちだったFWパッツィーニやFWエルシャーラウィが復調してきたが、攻撃はなかなか形にならなかった。米国内移動の時間を縫いながら、新監督は戦術アナリストとプレー分析を細かく続けた。

 インザーギの持ち込んだ新布陣4-3-3が機能するための鍵は、本田の新ポジションへのコンバートだった。

【次ページ】 3トップの右として、攻撃陣を操り始めた。

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