日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
森重真人がブラジルで得たいもの。
メンバー発表直前に語った「今」。
posted2014/05/16 10:40
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshiya Kondo
「今がないと、次もない。もちろんW杯というのは(頭に)ありますけど、次の試合をしっかりとやっておかないと自分のなかでW杯なんてないし……今が一番、大切だと僕は常に思っているので」
W杯メンバー発表を2週間後に控えたゴールデンウイークの入り口、FC東京でキャプテンを務める森重真人は3日後の浦和レッズ戦だけを見据えていた。
現在、彼こそが、ザックジャパンを活性化させる一人になっている。
無風に近かったセンターバックのポジション争いが、ここに来てようやく激しさを増してきた。吉田麻也、今野泰幸のコンビがずっと定着してきたものの、直近2試合(ベルギー戦、ニュージーランド戦)は「第3のセンターバック」であった森重が先発を担っている。吉田にはケガ明けの不安、今野も自身のパフォーマンスについて苦悩の渦中にあるなかで、割って入っていこうとする森重の勢いがどうしても目につく。
そんな彼にひとときだけ「今」を置いてもらうことにした。ブラジルW杯に対する率直な思いを聞いた。
W杯よりレギュラー獲りしか考えていなかった。
――ブラジルW杯が目前に迫っている段階ですけど、外から言動を見ていても格段、本大会を意識しているようには見えないのですが。
「そうですね、僕自身、W杯だなと思い始めたのは今年に入ってからなんです。去年の東アジアカップで代表に呼ばれましたけど(以降も)W杯のことなんてまったく頭になくて。センターバックの2人(吉田、今野)からポジションを奪いたいというその気持ちだけ。
それは今も同じです。ただ、こうやってW杯に向けた取材などが多くなってきて、『12日にメンバー発表があるんだな』とか、徐々に実感を持ってきてはいます」
――レギュラーを獲りたいという思いのほうが先にある、と。
「もちろん、コートジボワールのドログバとかヤヤ・トゥーレとか、世界のレベルを意識しながら、日々の練習に取り組んでいるつもりです。でも、ピッチに立たないとそういった選手たちとも勝負ができない。僕の目標の立て方として、W杯という目標の手前にレギュラー獲りとかいろいろな目標がある。そういったものにまず向かっていきたいというのが、正直なところですね」