サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ガーナから3得点の逆転勝利も……。
不安定ながら前進するザックジャパン。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/09/11 00:20
「自分のミスで前半に失点していたので、取り返そうと必死だった」と試合後に語った香川。積極的な守備への献身でも光っていた。
いつものザックジャパンに逆戻りしてしまうのだろうか。
9月10日、横浜国際総合競技場で行なわれたガーナとの親善試合。ボアテングもエッシェンもいない主力を欠いた1.5軍、しかも動きが重いアフリカの雄に対して、前半からザックジャパンが主導権を握ることは予想できた。狙いどおり相手の裏を取りながら、素早いパスワークでガーナのゴールに迫っていくが、なかなかゴールを割れないのもいつもの流れ。そして前掛かりになったところでボールを奪われて、そこからカウンターで逆に相手にゴールを奪われる。集中力が一瞬途切れ、そこから生まれた前半24分の失点。左サイドが高い位置を取る分、そこを突かれてしまう。これも既視感があった。
コンパクトに保ちながらの前線からの連動したプレッシング、セカンドボールの獲得、オフザボールの質……チームが攻守のバランスを意識しながらアグレッシブに戦っていこうとする姿は見える。しかしそれでも、「やる」前に「やられて」しまう。そして失点した直後、勢いを増して個の力を発揮しようとするガーナ相手に受け身になる時間帯になっていく。6日のグアテマラ戦で前進しかけていたものが、再度、後退してしまうのか。そんな不安を抱いたまま前半は終わってしまった。
ハーフタイムに監督が飲み込んだ、あるひと言とは?
アルベルト・ザッケローニ監督はハーフタイムにこうアドバイスしたという。
「リードされていることに捉われすぎるな」
「攻守のバランスを大切にして、パス&ムーブで相手に仕掛けていこう」
あれだけチャンスをつくっているのに、どうして点が取れないんだ――選手たちを前にして、この言葉だけは飲み込んだ、という。
監督の言葉が、どう効いたかはわからない。しかし後半、チームは気持ちを切り替えることが出来ていた。後半のスムーズな入り方が、50分の香川真司のゴールにつながっていく。ガーナの動きが鈍くなっていたとはいえ、守備では2人がボールホルダーへアプローチに行き、3人目が奪ってマイボールにしていく。個で突破される場面もあったものの、誰かがアプローチに向かっては全体で守備をするという意識は、コンフェデレーションズカップよりもウルグアイ戦よりも強くなっていたように思う。