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国内組オンリーで挑む東アジアカップ。
新戦力は“カンフル剤”以上となるか。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/07/16 13:25
「能力を把握しているメンバーより、Jリーグで成長していて手元で見てみたい選手を中心に選ぶことにした」と語ったザッケローニ監督。常連組Jリーガーの招集も今回は見送られた。
本田、香川、清武……新メンバーの余地が無い2列目。
本田圭佑、香川真司、岡崎慎司を筆頭に、清武弘嗣、乾貴士と準レギュラーまで不動の陣容が完成しつつある2列目については、純粋にJリーグで結果を残している選手を自分の手元に置いて観察してみたいという感覚が強いように感じる。国内屈指のパサーである高萩洋次郎、ハイレベルなパス、ドリブル、シュートを誇る万能型の山田大記、そしてドリブラーの齋藤学と原口元気という顔ぶれは確かに個性豊かだが、そうした個性でさえも現状の準レギュラーまでのメンバーにおいて不足している感は無い。1年後の準メンバーとして、今回招集されたメンバーが残るのは容易ではないだろう。
となると、やはり最も注目すべきは最前線のタレントだ。前田遼一はポストワークを含めた「連係」、ハーフナー・マイクは「高さ」という点で突出しているが、決定力という意味でのもの足りなさは否めない。まさにその部分で個性を求められているのが、豊田陽平(サガン鳥栖)と柿谷曜一朗(セレッソ大阪)、さらに大迫勇也(鹿島アントラーズ)、工藤壮人(柏レイソル)といった面々である。FWは結果がわかりやすい分、一気にレギュラーへの昇格もあるのではないか。
残り1年しか無いなかで、“スモールチーム”へのカンフル剤として。
23名の“新戦力候補”を読み上げる前に、指揮官は言った。
「ここまで戦ってきたメンバーの実力は分かっているが、他のメンバーについても1週間での成長を間近で見ることができるので、しっかり吟味した上で新しくメンバーに入ってくる選手がいれば、これ以上嬉しいことはない。チーム内での競争が激しくなれば、より成長を促すことができる。このメンバーのパフォーマンスからいい刺激を受けられればと思う」
もちろん本心は定かではないが、随分と楽観的なコメントに聞こえる。
現在の日本代表は明らかに新戦力、というより新たな刺激を必要としている。しかし過去3年でチームの根幹は固まりつつあり、残り1年、わずか10試合でそこに入り込むのは難しい。指揮官のコメントからは、これから見つけようとしている新戦力が、あくまでこれまで作ってきた“スモールチーム”へのカンフル剤に過ぎないとも聞こえる。