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日本代表のCK対策のカギは、
グアルディオラ流ディフェンス?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/07/13 08:02
トレーニング後の会見では、戦術に関して複数のオプションを準備していると語ったグアルディオラ監督。練習試合でも選手に複数のポジションを経験させ、徐々に戦術を固めていくものとみられる。
「リスタートの守備がこのチームの唯一の課題だと思っている」
アルベルト・ザッケローニ
またしても日本は、CKからの失点に苦しめられた。
日本はコンフェデレーションズカップの3試合中、2試合でCKから失点した。イタリア戦の1失点目、そしてメキシコ戦の2失点目だ。
今年行なわれた試合を振り返ると、3月のカナダ戦とヨルダン戦でもCKから失点している。
ザッケローニ監督は、ヨルダン戦後に悔しさをにじませながらこう語った。
「今日の試合もカナダ戦もCKからの失点ということで、相手にCKすらも与えてはならないのかという思いだ。リスタートの守備がこのチームの唯一の課題だと思っている」
もはやCKの守備の向上なくして、日本の2014年W杯での躍進はないだろう。では、いったいどんな改善策があるだろうか?
CKの守り方には、主に2つの方法がある。「マンツーマン」と「ゾーン」だ。
マンツーマンはゴール前にいる相手に対して、文字通り1対1でマークにつく。ニアポスト側にボールを跳ね返す役の選手を配置したり、ポスト横にクリア役を立たせたりはするが、いかに各個人が相手をマークできるかが鍵だ。ザッケローニ監督が採用しているのは、このマンツーマンである。
2つの守備方法、それぞれの長所と短所。
マークの対象者をはっきりさせられる反面、誰がマークを外されたのかが一目瞭然なのが特徴だ。イタリア戦では長谷部誠がデロッシの走り込みに反応するのが遅れた。メキシコ戦ではニアサイドで遠藤保仁が競り負け、ファーサイドで内田篤人がエルナンデスのマークを外してしまった。カナダ戦では伊野波雅彦、ヨルダン戦では岡崎のマークが不十分だった。ものすごく単純化して言うと、自分たちの背の高い順に、相手の背の高い選手からマークについていくため、平均身長が劣るチームはどこかで“ギャップ”が生まれてしまう。
一方ゾーンは、より組織を重視した守り方をする。
ゴール前に4人+3人といった2本の列を作り、各自に人ではなく空間を割り振る。自分のゾーンに来たボールは、責任を持って跳ね返さなくてはいけない。
その場で垂直跳びのようにジャンプする形になるため、助走をつけて飛び込んで来た選手に高さで負けることがある。また、ショートコーナーなどでボールを1度動かされると、ゾーンの並びが乱れて穴ができてしまうことが多い。しかし、“空間を組織で守る”ため、純粋な1対1の高さ勝負になることを避けることができる。