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個々のアピールに終始した中国戦。
“予備試験”の通過者はいたのか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/07/22 11:40
代表初キャップながら1ゴール1アシストとインパクトを残した柿谷。手ごたえと歯がゆさ、彼にとってはどちらが大きい試合だったのだろうか。
柿谷曜一朗と工藤壮人の1得点1アシストは、素直に評価したい。
トップ下で先発した高萩洋次郎も、後半途中に足が止まるまでは彼らしさを垣間見せた。
7月21日の中国戦にスタメン出場し、国際Aマッチデビューを飾った6人は、それぞれに持ち味を発揮した。少なくとも、持ち味を出し切ろうとする姿勢は確認できた。
2011年10月以来2度目の国際試合に臨んだ原口元気も、プレーが空回りしてしまうぐらいに闘志を剥き出しにした。ほぼ1年半ぶりの出場となった西川周作は、前半終了間際に超決定機を阻止した。ここで2点目を入れられていたら、試合の行方はまったく違うものになっていたはずだ。
途中出場でのA代表デビューとなった齋藤学と大迫勇也については、プレー時間が短いうえに試合の流れが良くなかった。しかし、ピッチ上でインパクトを残せなかったのは、彼ら個人にすべての原因があるわけではない。
これまで出場機会の少なかった選手やニューカマーたちが、どのようなプレーをするのか。中国戦の論点をこのひとつに絞り込めば、それなりに見どころのあった一戦だったといってよいだろう。
とはいえ、今回の東アジアカップは国内組だけで編成されている。アタッカーとして結果を残した柿谷と工藤にしても、海外組を含めた陣容でどこまでできるのかは未知数のままだ。
東アジアカップは、新たに代表で試したい選手を選ぶ予備試験。
言ってみれば今回の東アジアカップは、既存のチームでテストする人材を絞り込むための予備試験である。
Jリーグで結果を残してきた選手の活躍は眩しく映るが、彼らが越えるべきハードルはこれからさらに高くなっていくことを、決して忘れてはならない。
6月にタイに大敗したことでカマーチョ監督が解任された中国は、今大会に暫定監督のもとで臨んでいる。3カ国のなかでもっとも与しやすい相手ということも、付け加えておく。