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日本人内野手は“実力不足”なのか!?
田中賢介、外野コンバートの裏事情。
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![菊地慶剛](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/90/img_6bd0ff58f839765f0843fad4539dc3663842.jpg)
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/07/08 10:30
![日本人内野手は“実力不足”なのか!?田中賢介、外野コンバートの裏事情。<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/700/img_abad71fd89649754fc3fa7186a6d21cc247877.jpg)
スプリングキャンプでは内野手としてそつのない守備を見せていた田中賢介だが、スローイングに変化をつけた結果、送球難が再発。外野手に転向し、3Aフレズノ・グリズリーズからメジャー昇格を狙う。
守備位置のコンバートで、非凡なる打撃センスを生かす。
しかしながら今回のフロントの判断は、田中にメジャー失格の烙印を押したというよりも、ジャイアンツにおいては田中は外野手にコンバートした方が存在価値が上がるはず、という考えが根底にあったことも事実だ。
というのも、田中は打撃センスに関しては、首脳陣から高い評価を受けているようなのだ。前述のマリアノ監督の説明に耳を傾けて欲しい。
「バットコントロールが正確で、とにかくヒットの打ち方を理解している。時には足を絡めたセーフティーバントを試みるなど、どの打席でも相手投手の嫌がることができる。彼のバッティングは、今でも十分にメジャーで通用すると思う」
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7月3日時点での攻撃面の成績は、打率.328(リーグ6位)、23打点、20盗塁。シーズン開幕からずっと安定した打撃を披露している。そのあたりは田中本人も、徐々に手応えを掴み始めているようだ。
「まだメジャーの投手と対戦していないので、わからない部分はある。ただこちらの練習環境だったり、ピッチャーとの間合いは慣れてきました。(同じチームから)メジャーに上がったバッターがボコボコ打ったりしているのを見ていると、まったく手が届かないところではない気はしています」
日々の努力を無駄にしないためにも「何かを掴みたい」。
だがこうした手応えを口にする一方で、打撃についても更なる課題を見据えている。
「もっと強い打球を打っていかないといけないと感じている。マイナーだと(投手の)攻めは真っ直ぐが基本だし、シフトもない。メジャーにいけばそれなりのポジショニングで守られるでしょうから、そこを抜けるぐらいの打球が必要かなと思う」
これは田中に限ったことではないが、このコラムで取り上げてきた中島裕之や川崎といった同年代の野手たちは皆、世界最高峰の舞台でいかに自分を成長させていくかを日々考え、今まで経験したことがない新しい価値観と向き合いながら、必死に野球に取り組んでいる。とにかく日々を無駄にしないように前を見据えていることだけは間違いない。
「このオフに目指した方向性だけは間違わないようにしないといけない。そのためにも、もう少し何かを掴んで(今シーズンを)終わりたいし、ある程度これをやればというのが見えた状態で終わりたい」