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戸崎圭太、移籍後初の重賞Vなるか!?
騎手勢力図で占う混戦オークス。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAkihiro Shimada
posted2013/05/18 08:01
3月にJRA所属となって以来、初のGI制覇を目指す戸崎圭太騎手。5月12日現在、平地の騎手としては勝率.183と日本人ジョッキートップを走っている。
戸崎騎手、中央移籍後初の重賞制覇はあるのか?
オークスに出る18人の騎手のうち、武、横山、福永といったJRA生え抜きのほか、内田、戸崎、岩田康誠(2歳女王ローブティサージュに騎乗)と地方競馬出身騎手が3人、C・デムーロ、クレイグ・ウィリアムズ(ディープインパクトの妹トーセンソレイユに騎乗)と外国人騎手が2人いる。
なかでも、南関東の大井をベースに地方通算2332勝を挙げ、今年3月中央に移籍した戸崎が、移籍後初の重賞勝ち(スポット参戦では2011年の安田記念などを勝っている)をオークス制覇という形でやってのける可能性もあるだけに、注目必至である。
ここで、次のランキングをご覧いただきたい。
岩田康誠(50)、内田博幸(49)、川田将雅(47)、福永祐一(46)、浜中俊(46)、戸崎圭太(44)、蛯名正義(39)、横山典弘(35)、北村宏司(34)、松山弘平(32)。
これは、今年5月12日終了時におけるJRA騎手リーディングのトップ10で、カッコ内の数字は勝ち鞍である。
では、10年前の2003年はどうだったのか。シーズン終了時のランクと勝ち鞍は――。
武豊(204)、柴田善臣(119)、安藤勝己(112)、藤田伸二(103)、蛯名正義(101)、横山典弘(90)、福永祐一(83)、後藤浩輝(82)、田中勝春(79)、北村宏司(78)。
地方競馬出身の騎手はなぜ強いのか?
10年前と何より大きく変わったのは、内田、岩田、戸崎ら地方競馬出身の騎手が上位に来ていることである。
彼らは数多く勝つだけではなく、大舞台でも強い。昨年のデータを見てみると、22レースあるGIのうち、内田が3勝、岩田が6勝と、2人で9勝もしており、さらにミルコ・デムーロが2勝しているので、実に半数の11を地方競馬出身騎手と外国人騎手が勝っているのだ。
今年も同様で、7戦行なわれたGIのうち、高松宮記念を岩田、桜花賞をクリスチャン・デムーロ、皐月賞をミルコ・デムーロ、ヴィクトリアマイルを内田が制している。
彼らはなぜそれほどまでに強いのか。地方競馬出身騎手から見ていくと――。
まず第一に、地方競馬では毎日開催があるので、週末のみ開催されるJRAの騎手より実戦で騎乗する機会が多くなることが挙げられる。
また、JRAの芝コースに比べると小回りで、幅の狭いコースで乗っていることも技術向上に寄与しているようだ。密集した馬群のなかで、細かく馬を操作するテクニックが自然と磨かれるのだろう。
もうひとつ、JRAのそれに比べると、深くて重いダートコースでレースをしていることも関係している。
地方競馬の騎手は、力のいる深い砂でバテかけた馬の前躯を手綱で引き起し、下半身全体で前に押し込むようにして馬を動かしている。そのテクニックが、JRAの芝のレースでも生かされるようになってきた。