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どん底まで墜ちた盟主インテル。
次期監督候補に挙がる名前とは? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2012/03/13 10:31

どん底まで墜ちた盟主インテル。次期監督候補に挙がる名前とは?<Number Web> photograph by AFLO

27節終了時点で7位のインテルは3位のラツィオと勝点差8。CLどころかEL圏内も危ない。

次期監督の最有力候補は前チェルシーのビラスボアス?

 シーズン残りの現実的目標は、来季のヨーロッパリーグ出場圏である5位以内の確保だ。もはや巷の興味はイングランド、フランスを巻き込んでの次季監督予想レースに移っている。

 監督候補の最右翼と見なされているのが、チェルシーの監督を解任されたばかりのビラスボアスだ。昨夏にも招聘を狙った34歳の俊英には、欧州を席巻した“ポルト”スタイルの導入が期待されている。彼にはモウリーニョ時代の戦術アシスタントとして、すでにインテルに在籍した経験があるのも強みだ。

 対抗馬には、現役時代からモラッティ会長の信望が厚かったフランス代表監督のローラン・ブランが挙がっている。EURO本大会終了後に契約が切れる彼にはボルドー時代に見せた采配の妙に加え、バルセロナやマンチェスター・Uといったビッグクラブでの現役経験からスター選手たちの人心掌握に一日の長がある。

 イタリアンカルチョにも造詣が深いバルセロナのグアルディオラの招聘という案も魅力的だが、高額報酬契約は避けられないためクラブ財政を圧迫する。「ガゼッタ・デロ・スポルト」紙のサイト上アンケートでは、前イングランド代表監督のカペッロ(29.0%)やゼニト監督のスパレッティ(18.7%)を推す声も根強い。

“インテル魂”を持つOBのゼンガも名乗りを上げる。

 しかし、ベニテスやガスペリーニら“ポスト・モウリーニョ”時代の監督たちが軒並み迷走したことを見ても、クラブを託すべきは“インテル魂”を持つ人物であるように思う。多国籍の個性派軍団を率いるには、戦術家である以上に肝の据わったモチベーターでなければならない。

 その長い歴史に対して、インテルで選手経験を持つOBが指揮官となったケースは少ない。欧州で勝ち続けるバルセロナやミランが、グアルディオラやアンチェロッティを監督として重用してきたのと対照的だ。

 約1年前、前シーズンまでミラン監督だったレオナルドがベニテスの後任となり多くの喧騒が起こった際、ライバル候補のなかで最もインテリスタたちの支持を集めたのが、クラブOBの闘将ゼンガ(現アル・ナスル監督)だった。その際、彼は「私はコーチ稼業を始めた最初の日から、インテルの監督になることを生涯の目標にしている。この世に心置きなく死ねるよう必ず実現してみせる」とまで言い切った。

【次ページ】 無冠時代の無頼精神を取り戻すことが再建の第一歩に。

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