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今やシュツットガルトのキーマン!
酒井高徳が登る一流選手への階段。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/03/10 08:02
入団当初はまったくドイツ語ができなかったという酒井高徳。ドイツ・ニュルンベルク出身の母アンジェリカさんからは「だからドイツ語を勉強しておけば良かったのよ!」と怒られたという。
与えられたチャンスをつかむことの出来る者が一流だというのなら、酒井高徳は一流選手への階段を登り始めているのかもしれない。
ドイツではもちろん、ヨーロッパ内で最大の売り上げを誇る日刊紙『ビルト』で単独インタビューが掲載され、地元TV局SWRのスポーツ番組『Sport im Dritten』にも出演した。酒井は、飛ぶ鳥を落とす勢いで、その名をドイツ中に広め始めている。
この勢いは、『ビルト』紙をはじめとして、様々なメディアに取り上げられた香川真司のケースを思い起こさせる。
ライバルの出場停止で巡ってきたチャンスで結果を出す。
酒井は、今年1月にシュツットガルトに加入した。ただ、この時点でチームにはレギュラーの左SBモリナーロと、2番手にはコートジボワール代表のボカが立ちはだかっていた。
まず、ボカがアフリカ選手権のためにチームを離れた。そして、モリナーロが2月4日のレバークーゼン戦で相手選手に見舞った激しいタックルのために、3試合の出場停止処分を受けた。翌週から、左SBの先発に名をつらねたのが、酒井だった。
デビュー戦となるヘルタ・ベルリンとの試合で5-0の大勝に貢献すると、翌週のハノーファー戦では2-4で敗れたものの、岡崎慎司のスーパーゴールのきっかけとなるクロスを送った。
そして、ライバルであるモリナーロの出場停止期間が明ける直前のフライブルク戦ではハルニクの先制ゴールをアシストして、4-1の勝利の中心として輝いた。この試合では大差がついてからも、油断することなく何度も前線に上がって行ってはゴールやアシストを狙っていた。
ラバディア監督は酒井へのレギュラー委譲を宣言。
モリナーロの出場停止が明け、次節のハンブルガーSV(HSV)戦を前に「モリナーロとサカイ、どちらを起用するのか?」と地元メディアに問われたラバディア監督が本音を吐露している。
「ゴウ(酒井のニックネーム)は戦術面でも攻撃面でも良いプレーを見せ、何よりミスが少ない。最近の試合で良いプレーを見せている選手に“アドバンテージ”があるのは当然だろ」
果たして、HSV戦では酒井がスタメン出場を果たし、4-0での勝利に貢献したのだった。