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柏原抜きで来年の箱根はどうなる?
東洋、駒澤ら有力大学の未来予想。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2012/01/05 12:10
箱根駅伝で有終の美を飾った柏原竜二。卒業後は実業団入りしてマラソンへ挑戦することも明らかにしている。「世界では2時間9分や8分では遅いと言われてしまう。6分台を狙いたい。そして5分台、4分台も目指していきたい」と語る
結果的に卒業生が少なかったので期待できる早稲田。
卒業生……矢沢曜(3区 区間6位)、大串顕史(4区 区間5位)
連覇を期待されながら4位に沈んだ早大。東洋大との差を見せつけられた格好だが、結果的に卒業生が少ない分、来年につながる形となった。
来季の柱になるのは、今年も1区で区間賞を取った大迫傑(2年)。山登りでは山本修平(1年)が「ど根性走り」を見せて区間3位。これであと3年間は山登りの心配が要らなくなった。
さらには主将になる佐々木寛文、8区で区間2位の好走を見せた志方文典(2年)、今回は不振だったが実力者の平賀翔太(3年)と駒はそろっている。
早稲田の泣きどころは選手層の薄さにある。リクルーティングのシステムの問題で、早稲田は思うような勧誘活動が出来ず、チームの9番手から13番手あたりまではたたき上げの選手に頼らざるを得ない。
実は箱根で差がつくのは9番手、10番手の選手の部分であり、来年度はさらなる底上げが必要になる。
ただ、常にトップを志向する学校であり、往路で流れをつかめば怖い存在だ。
躍進した青山学院だが、優勝を狙う練習までできるか?
卒業生……川村駿吾(7区 区間11位)
今回、大躍進を遂げた5位の青学大だが、4位早大とは5分以上の差がある。一足飛びに優勝を狙うのはむずかしいかもしれないが、卒業生はたった一人だけだ。
2区を走ったエース出岐雄大(区間賞)、5区小嶺篤志(区間11位)、9区横山拓也(区間4位)、10区大谷遼太郎(区間7位)と主要区間を走ったメンバーが最上級生を迎えるのが頼もしい。さらに6区を走った竹内一輝(2年)は、山下りで区間賞を狙える存在に成長するだろう。
一段階上を目指すには「トラックでの自信が必要」と原晋監督は話しており、重いタスクはあるものの、優勝を狙うという意識は練習での充実をもたらす。
しかも4月に入学してくる新入生は、全大学中でナンバーワンのリクルーティング・クラス。何人かはメンバーに入ってくるはずだ。
来年の青学はより面白い存在になる。
では、来年正月に優勝する大学はどこなのか?
概観してきて、私なりの予想をするなら、来年の本命には駒澤大学をあげたい。今回の悔しさを武器にするだろうし、やはり東洋大には5区に不安が残る。柏原の抜けた穴を誰が埋めることになるのか、注目したい。
明大、早大、青学大に関しては春のトラックシーズンからの動向を注視する必要がある。
それにしても、終わったばかりなのに、早くも来年のことが気になるんだから、箱根駅伝は30年前に比べて、本当にビッグなイベントになったものだ……。