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センバツで「21世紀枠」選出校が12連敗中「うちのせいで制度の存在意義が…」出場校が抱える“恐怖”も…それでも21世紀枠が必要だと思うワケ 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2025/03/23 06:00

センバツで「21世紀枠」選出校が12連敗中「うちのせいで制度の存在意義が…」出場校が抱える“恐怖”も…それでも21世紀枠が必要だと思うワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2001年、初めて創設された21世紀枠でセンバツベスト4まで勝ち進んだ沖縄・宜野座ナイン。「宜野座旋風」は大きな話題にもなった

 只見は初戦で大垣日大に敗れたものの、甲子園初得点を挙げるなど1-6と善戦。木村も「本当にいい戦いをしてくれました」と声を震わせ、胸をなでおろしていた。

 木村のような不安は他人事ではないはずだ。

 昨年、創志学園に0-7で敗れた別海もそうだった。エラー絡みで失点をしても選手たちは俯かずにプレーした。そんな姿が高校野球の原点とも言えるひたむきさを教えてくれたとはいえ、チームを率いた島影隆啓は危機感すら抱いていたほどだったと明かしていた。

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「もちろん、出るからには勝ちたいですよ。勝ちにいきましたよ。でも、もし惨敗なんてしようものならば『うちのせいで21世紀枠の存在意義が問われてしまうんじゃないか?』と不安になることもありました」

続く連敗…それでも21世紀枠が必要なワケは?

 21世紀枠で選ばれたことでちらつく不安。そして、敗戦という結果。双方が負の連鎖を生み、12連敗の遠因となっているのだとしても、「21世紀枠不要論」に発展させてしまうのは早計である。

 むしろ、厳しい現実を味わった経験を糧とし、よりチーム育成や選手個々のレベルアップへの意識が高まる――そう考えれば、意味のある制度だと言えるのではないだろうか。

 そのことを証明したのが、23年に出場した栃木の石橋である。

 県内随一の進学校は初戦で能代松陽に0-3で敗れた。そこから「今度は実力で甲子園に」を合言葉に、入江祥太ら敗戦の悔しさを知る選手が奮起し、翌24年の夏には栃木大会を制して甲子園に出場し、1勝を挙げたのである。

【次ページ】 「自分たちが評価された野球を貫いて」

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