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「今の僕がやるべきことは…」世界水泳で金メダル→パリ五輪で予選落ち…日本競泳界のエースが見た“天国と地獄” 復活の「超意外なキッカケ」は?

posted2025/03/23 11:03

 
「今の僕がやるべきことは…」世界水泳で金メダル→パリ五輪で予選落ち…日本競泳界のエースが見た“天国と地獄” 復活の「超意外なキッカケ」は?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

直前のドーハ世界水泳で金メダルを獲得し、満を持して臨んだパリ五輪はまさかの予選落ちに。本多灯はいかにその挫折から立ち直ったのか

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田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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 東京五輪では19歳の若さで銀メダルを獲得。その後も順調な成長を見せ、2024年のドーハ世界水泳では世界の頂点に。日本競泳界のエースとなるはずの男は、しかしそこから長いトンネルに迷い込む。一度は頂上にまで上り詰めた男に一体何があったのか。本人が語った葛藤と胸の内とは。《NumberWebインタビュー全3回の2回目/1回目3回目を読む》

 がむしゃらに突き進んできたことで、結果を残し、実績を積み上げてきた本多灯だったが、大きな壁にぶち当たってしまう。まさかそれがパリ五輪という大舞台で訪れるとは、本人も思ってもみないことだった。

 ただ、この壁を乗り越えることができれば、自分はさらなる高みを目指すことができる。本多はそう感じているからこそ、トレーニングを再開した。

失意の五輪から5カ月…大会に復帰

 パリ五輪から5カ月後。久しぶりに公の舞台に姿を現した本多。1月24日から東京アクアティクスセンターで行われた、KOSUKE KITAJIMA CUP2025である。

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 本多は50m、200mバタフライと、400m自由形に出場。400m自由形は一定のペースを刻み続けて3分56秒39のB決勝1位を獲得。200mバタフライは、予選は1分59秒32、決勝では1分57秒19と、パリ五輪の予選よりも速いタイムで泳ぎ切ることができた。

 2024年11月にトレーニングを再開して、まだ2カ月。気持ち新たに次に向かっているというよりは、同じイトマン東進のチームが始動しているところに間借りしているような状態だ。だからこそ、パリ五輪の本多がいかに異常事態だったかが良く分かる。

「(五輪で)納得がいかないレースをしてから、久しぶりのレース。予想通りのタイムでしたし、そういう意味では良い泳ぎができたと思います」

 冷静に、ゆっくりとレース後のインタビューに応える本多の様子は、いらだちもなく、かといって何かに情熱を傾けている様子もない。本多灯という選手を対象に研究している本多灯という研究者、とでも言えば良いのだろうか。どこか他人事のような雰囲気すら感じた。

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