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「オレが元祖AIです。フフフッ、くだらねえか」“AIアントニオ猪木”をどう受け止めるべきか…盟友アナが言った「猪木は心の中に棲んでいるからね」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/24 11:00

ホログラムのアントニオ猪木にAI猪木の声が重なった。2月20日、京王プラザホテル
「主人に蹴られたり、殴られたり…」力道山夫人の姿も
藤波辰爾は50年余にわたる師匠との思い出を語り、乾杯の音頭をとった。
「カバン持ちから60分フルタイムまで。まだ、自分は現役なのでなんかつまんないことしたら、猪木さんの竹刀が飛んできそうです。1日でも長くリングに立ちたい。1、2、3、乾杯!」
藤原喜明は「元気ですか!」と第一声を発し、「猪木さん、82歳の誕生日おめでとうございます」と天に向かって叫んだ。
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藤原はそれだけの短い挨拶を佐々木健介、北斗晶夫妻に笑われた。
健介は「テレビで見ていた猪木さんと同じリングにいられた」ことを感慨深げに話した。
「猪木さんのおかげで、結婚して30周年になります」
北斗も北朝鮮に猪木に誘われたことを昨日のことのように語った。
「当時、女子プロレスラーで猪木さんと仕事をする人はいなかった……」
そんな佐々木夫妻にも「孫がいて、おじいちゃん、おばあちゃんになった」という。
力道山夫人の敬子さんは元気な姿を見せていた。
「主人、力道山に蹴られたり、殴られたりしたけれど、猪木さんは『気にしていないよ』って言っていました。『オレは自分の子供と思って鍛えてきた』と主人は言っていましたから。私が覚えていることは力道山も覚えていたこと」と話した。
会場には津軽三味線の北村姉妹が弾く「炎のファイター」が流れている。そして杉野強が「闘魂背中に背負い オレは生きていく……」という猪木の詩を歌っていた。
猪木がかわいがっていたアントキの猪木やアントニオ小猪木らの姿もあった。
フィナーレはテレビ朝日がNETだった時代から「ワールドプロレスリング」で「燃ゆる闘魂」「燃える闘魂」と猪木を実況してきた87歳の舟橋慶一さんがマイクを取った。
「今日は素晴らしいゲストをお招きしていますので、ご登壇頂きます。どうぞ!」
ちょっと間をおいて、ステージには「アントニオ猪木」がプロペラ状の物体にホログラムで映し出された。そして生成AIの高めの音声が響いた。これが1年前に計画が発表されていた「猪木ロイド」だった。AI猪木が喋り始めた。