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「お前はもう無理や。諦めろ」戦力外通告の電話、金本知憲は言った…北條史也が明かす“同学年”大谷翔平、藤浪晋太郎への本音「鈴木誠也がいちばん可哀想」―2024下半期読まれた記事
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2024/12/21 06:00
2016年から2018年シーズンまで阪神監督を務めた金本知憲
「安定か、野球か」進路決断ウラ側
球団にスタッフとして残るという選択肢の方が心の安寧を得られる。しかし、引退した何人かの先輩に相談したところ、野球を続けられる環境があるのなら1年でも長く続けた方がいいという意見が圧倒的に多かった。
妻に相談するとこう言って背中を押された。
「どうせ野球をやりたいんでしょ」
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三菱重工Westとはプロ契約を結んだ。とはいえNPBのように活躍したからといって年俸が跳ね上がることはない。その代わり、故障して1年を棒に振ったからといって、いきなりクビになるわけでもなかった。
ただし、安定とスリルはうらはらでもある。国内最高峰の舞台で野球をやってきた者として社会人野球のレベルに物足りなさを覚えてしまうことはないのだろうか。
北條は淀みなく語った。
「戦力外になった時点で、プロの一軍のレベルではないんで。社会人野球もレベルは高い。僕が落ちているぶん、しっかり練習しないと通用しないだろうなと思って入りました」
北條の体重は今、83kgある。今まででいちばん重い。
「プロと違って毎日、試合があるわけではないんで、めっちゃ楽な部分があるんです。時間があるので、ウエイトとかも重点的にできますし。体がデカくなって、レベルアップできたかなという感覚があります。打球も飛ぶようになって、今、またホームランを打ちたい欲が出てきていますね」
北條は今、本当に楽しそうだった。金本の「お前はもう無理や」という言葉の意味がわかる気がした。
阪神時代、北條がもっともこたえたのはエラーしたときの観客のため息の束だったという。
「全員の『ああ~』が同じタイミングなので。悲鳴みたいに聞こえる。ヤジやったら『なんじゃ』みたいに言い返していたくらいなんですけど。ため息がいちばんヤバいです。甲子園って高校野球をやってるときとプロの試合をやってるときでは雰囲気がぜんぜん違うんです。本当に同じ球場なのかなって思えるくらい。プロだと、めっちゃ見られている感じがするというか、囲われている感じがする。なんなんだ、この圧は、って」
大谷に、鈴木誠也に…明かす本音
2023年オフ、大谷翔平は移籍が決まったドジャースと10年総額7億ドル(約1041億円)というMLB史上最高額の契約を結んでいた。