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「エリートなどくそくらえっ!」年俸540万円、落合博満は12球団で“最も給料が安い”四番バッターだった…そして現れた“8000万円ルーキー”原辰徳 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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posted2024/10/26 11:03

「エリートなどくそくらえっ!」年俸540万円、落合博満は12球団で“最も給料が安い”四番バッターだった…そして現れた“8000万円ルーキー”原辰徳<Number Web> photograph by KYODO

1978年ドラフト3位指名、25歳でロッテに入団した落合博満。プロ3年目の1981年にはレギュラーに定着する

 子どもの頃に長嶋茂雄へファンレターを送り、背番号3の引退試合も「怪我の治療のため病院に行く」という名目で仕事を休んで、後楽園球場の三塁側ジャンボスタンドへ駆け付けた。無名時代の落合が憧れたミスタープロ野球。その栄光の「巨人の四番サード」を継承する男、原辰徳。プロ1年目にはスポーツ界所得番付で、千代の富士や王貞治を上回る第2位にランクインする異常な若大将人気はとどまることを知らなかった。だが、やがて年俸の数倍の大金をCM出演で稼ぐアイドル原に対して、「カメラに向かってニッコリ白い歯を見せるだけのキャラクター。コンピューターがしゃべってるみたいな模範解答」とか、「スポーツ新聞も原をメインにしたら売れない。江川なら売れる。スポーツ紙は女や子どもが買わないからね」といったマスコミからの批判も目立つようになる。

 そんな優等生の原とは対照的に、叩き上げの落合は反体制のアンチヒーローでもあった。野球界のメインストリームとはまったく別のルートから頭角を現した異端のスラッガー。閑古鳥の鳴く川崎球場で、「観客の数なんて関係ないよ。俺はタレントじゃなくて“野球人”なんだもの」と淡々とホームランを打ち続ける男。「週刊宝石」の石原慎太郎との対談で「ものすごく暗いんですよ。エリートコースを歩んできた人って」と笑い飛ばし、日本でまだまだ根強い終身雇用的な価値観を否定して、バット一本で誰よりもカネを稼ぎ、「ロッテのために野球やってるわけでもない、会社の社長のためにやってるわけでもない。要するに自分のために野球やってるんだよね」なんてうそぶく一匹狼。

 それが、落合博満の生き方だった。

《そして1980年代中盤、落合は巨人への電撃トレードのウワサが何度も報じられる。「中畑清プラス3億円」報道もあったが……なぜ落合の巨人移籍は実現しなかったのか?》

<後編に続く>

書籍「巨人軍vs.落合博満」(文藝春秋)。巨人にとって落合がいた3年間とは何だったのか? 40歳落合博満は誰と戦っていたのか? 当時を徹底検証するノンフィクション(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
#2に続く
落合博満32歳が批判「えっ? 原辰徳とオレで釣り合うかって?(ニヤリ)」巨人電撃トレードの噂をバッサリ…「落合は巨人ドラ2だった」説の真相まで

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