Number ExBACK NUMBER

ヤクルト青木宣親が、じつは尾崎世界観に明かしていた“引退のこと”「青木さんが引退するとき、一体自分はどうなってしまうのだろう…」

posted2024/10/01 11:13

 
ヤクルト青木宣親が、じつは尾崎世界観に明かしていた“引退のこと”「青木さんが引退するとき、一体自分はどうなってしまうのだろう…」<Number Web> photograph by Miki Fukano

今季限りでの現役引退を発表した青木宣親。著書『青木世界観』の中で、親交の深いミュージシャン尾崎世界観に“引退”について明かしていた

text by

青木宣親×尾崎世界観

青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki

PROFILE

photograph by

Miki Fukano

 ヤクルトスワローズのレジェンド青木宣親と熱烈なヤクルトファンのミュージシャンにして作家の尾崎世界観。プライベートでも交流のある二人が、縦横無尽に語り合う対話集『青木世界観』(青木宣親×聞き手・尾崎世界観/文藝春秋)が刊行された。
 9月13日に今季限りでの現役引退を発表した青木だが、じつは本書の中で“来たるべき引退”について、自らの考えを明かしていた。9つのテーマの中から「引退」について語った第9章を抜粋して紹介します。《全2回の前編/後編に続く》

尾崎世界観が青木宣親に聞く「引退」

 昨年(2023年)秋、スワローズ一筋で引退した荒木貴裕選手の現役最終打席を見ながら、ふと思った。青木さんが引退する時、一体自分はどうなってしまうのだろう。野手最年長の42歳で迎えた今シーズン。そう遠くない未来に、その日はやって来るーー。

 ミュージシャンは、バンドが解散することはあっても、意欲がある限り音楽をやることができる。だから、自分が音楽を辞める日というのを意識しながらステージに立つことはあまりない。

 野球選手は、いずれ引退することが決まっている。だから言ってみれば、プロとしてスタートしたその日から引退に向かって歩き続けていくようなものだ。

 引退すると決めた時、寂しさや悲しさの他に、一体どんな感情があるのだろうか。 故障に泣かされた選手や、ストイックな日々を過ごしてきた選手が引退を決めた時、「もうこの辛い毎日から解放される」と思いホッとしたと、そんなエピソードも耳にする。

 また、引退を発表したり、実際に引退試合をした時に初めて分かることもあるだろう。自分がどれだけ多くの注目を集めていたか、どれだけたくさんの人から応援されていたか、自分がやってきたことの“答え合わせ”になるかもしれない。

 自分は今のところバンドの解散も引退も考えていない。第7章「継続」でも触れたように、ライブにお客さんが来てくれる限り、できるだけ長く続けていきたいと思っている。

 音楽は自分にとって苦しいものだし、未だに上手くいかないことの方が多い。だから決して好きだとは言えなくても、逆に音楽を嫌いになった時に「これが音楽を仕事にするということだ」と実感できるのかもしれない。

 本当は好きでいられるのに越したことはないかもしれないけれど、一つの形として、嫌いになるというのも悪いことばかりじゃない。

 ここまで話を聞いてきて、改めて知りたいと思ったのは、青木さんにとって「野球」がどんなものなのかということだ。そもそも青木さんはどのように野球と出会い、なぜ野球に魅了されたのか。そして、野球が好きだと感じる時はどんな瞬間なのだろうか。

青木が明かす野球を始めた頃の「記憶」

 幼い頃、家の近くの公園で活動している少年野球チームがあって、叔父が監督を務めていたんです。うちの兄貴がそこで野球をやっていたので僕も5歳くらいからついて行ってました。当時は球拾いやキャッチボールをしていたくらいで、正式に入ったのは小学校1年生からです。とはいえ、5歳から野球で遊んでいたことを思うと、もう37年くらいやっていることになりますよね。凄いですね。自分の人生の大半が野球です。なんで僕はギターと出会わなかったんだろう(笑)。中学校の理科の先生がギター弾いてました。部屋に行くとフラスコでコーヒーを作っているような面白い先生でした。あそこでギターに惹かれていたら、尾崎さんと同じ道を歩んでいたかもしれませんね。

【次ページ】 印象的だったイチローさん、松井さん

1 2 3 4 NEXT
#青木宣親
#尾崎世界観
#東京ヤクルトスワローズ
#クリープハイプ
#松井秀喜
#若松勉
#野茂英雄
#ラルフ・ブライアント

プロ野球の前後の記事

ページトップ