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「うぁぁーーー行くぞ!!」レーザー妨害や君が代ブーイングより…バーレーン戦取材記者の心が燃えた“陰のMVP”長友佑都、鈴木彩艶らの振る舞いとは
posted2024/09/11 18:25
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
REUTERS/AFLO
ピッチ入場直前の日本代表を目にすることができた
現役時代の長谷部誠(現代表コーチ)が、初めてキャプテンマークを巻いたグラーツでの試合以来だった。2024年9月10日、中東の小国バーレーンのスタジアムには、西欧の小国オーストリアのグラーツのスタジアムと似たような環境があった。
バーレーンナショナルスタジアムは、ロッカールームとピッチを結ぶ広大なスペースを、記者が立ち入れるエリアから見渡すことができる造りになっていた。
筆者が日本代表の取材を開始して以来、そのような構造のスタジアムで代表戦が行なわれたのは、他には2007年9月のスイス戦くらいだろうか。あのときも会場はオーストリア内の都市クラーゲンフルトだった。オーストリアやバーレーンのような小国にあるコンパクトなスタジアムだと、試合開始直前の緊迫した空気の中で心を燃やす選手たちの姿を、一介の記者でも肉眼でとらえることができる。
9月10日のW杯最終予選の第2節。先発する選手たちがピッチへ入場する直前に、2024年初頭のアジアカップ準々決勝でイランに逆転負けを喫したときに日本に足りなかった“あるもの”を見ることができた。
アジア杯敗戦から7カ月後…長友の振る舞い
それが何なのかを語る前に――およそ7カ月前の試合の敗戦直後の、キーマン2人のコメントを見てほしい。
「それ(劣勢)を変えようとする選手が何人いるのか。正直〈熱量〉を感じられなかったというか、ピッチ上で物足りなさは感じました」(冨安健洋)
「〈熱量〉のようなものを失ってはサッカーでは勝てない」(キャプテン遠藤航)
サッカーにおける〈熱量〉そのものを目にしたことのある人はさすがにいないだろう。ただ、イングランドの名門でプレーする偉大な2人が言及している以上、熱量の重要さや価値を否定することは誰にもできない。
何より――それが表現された行動がアジアカップ準々決勝前、日本の対戦相手に見られたからだ。