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「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは? 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/08/27 06:01

「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

大社の石飛文太監督(右)や神村学園の小田大介監督(左)など、今夏の甲子園で躍進した若手監督たちには共通するある特徴が…?

 その吉野も、京都国際に敗れた直後に目を真っ赤に腫らしていた。

「春から練習試合で負けか引き分けばかりで、『負けるんじゃないぞ!』といい続けてきたなかで、夏になってどんどん良くなって、ここまで連れてきてくれて。負けず嫌いな監督に、選手がよくついてきてくれました」

 栃木の進学校である石橋を創立100周年で初めて夏の甲子園に導いた福田博之もまた、敗戦時には涙を流していた。そこには悔しさ以上に、「公立の進学校」というハンデとも受け取られかねない環境ながら、強豪ぞろいの甲子園で1勝できたこと。そして、「進学校でも甲子園に行けるチームになろう」と野心を掲げ、それを達成した選手への感謝があった。

甲子園という「夢舞台は青春そのもの」

 涙もろさで言えば、26年ぶりに甲子園に帰ってきた進学校、掛川西を率いる大石卓哉が印象に残る。選手やチームを支える支援者、応援団への感謝を、言葉を詰まらせながら実直に伝える。そんな情に厚い監督は、胸に溜めていた想いをしみじみと編んでいた。

「子供たちからすれば公立も私立も関係なく、熱い思いで練習に取り組んでいますから。コツコツ積み重ねていったことが、甲子園という結果に繋がってくれたんだと思います」

 選手たちを甲子園へと導いた監督。

 大人であろうと、この夢舞台は青春そのものなのである。だからこそ、感情がとめどなくあふれ出る。今年はそれが顕著だった。

 小田が少年のような目を向け、このように声を張っていたのが印象的だった。

 それはきっと、高校野球に携わるすべての者たちの叫びである。

「僕は野球が大好きです! 愛してます!」

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今夏の甲子園で気づいた“新たな監督トレンド”とは? 慶應高「エンジョイ・ベースボール」から1年…躍進した若手指揮官たちの「ある共通点」

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