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野球クロスロードBACK NUMBER
「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/27 06:01
大社の石飛文太監督(右)や神村学園の小田大介監督(左)など、今夏の甲子園で躍進した若手監督たちには共通するある特徴が…?
選手たちは、「初出場のつもりでやろう」という監督の号令によって島根大会同様の粘り強い野球を展開し、甲子園を席巻した。
このような熱量の根源にあるものを明確に言語化してくれたのが、神村学園の小田大介である。チームを2年連続のベスト4へと導いた監督は、その情熱を真っ直ぐに伝える。
「監督が選手と同じユニフォームを着られるのは野球だけですから、同じ気持ちにならないといけないじゃないですか。選手がこんなに熱く野球ができるのは高校までだと思っていますんで、選手と一緒に野球ができる喜びを感じながら日々過ごしております、はい」
「勝って泣き、負けて泣く」監督たちの姿
選手と歩み、心と体を滾らせて指導する。
そんな姿勢を前面に打ち出すひとりに、東海大相模の原俊介もいる。県大会から感極まり涙を流す様子が話題とされてきた男は「泣き虫じゃないですよ」と否定しながらも、準々決勝で関東一に敗れた際にはやはり泣いた。
母校を率いて初めて甲子園の土を踏んだ原の、指導者としての身上はこうだ。
「プレーヤーは結果を出すことだけを考えてくれるだけでいいんです。試合での選手の表情や力加減を見ながら監督は采配して、あとは願うしかないというか。うまくいかなかったら『ごめんな』と謝るだけですから。様々な人がいて、いいことも悪いことも様々あって、そのなかでどうアクションを起こしていくか? と考えながら全員と向き合っていくことで、気付きや教えがあると思っています」
勝って泣き、負けて泣く。石飛や原だけではなく、そんな監督が目立った。
「柏崎から甲子園に」
中学野球の指導者だった吉野公浩は、理事長のこんな嘆願もあって2016年に新潟産大附の監督となった。そして、8年後の今年に甲子園初出場を果たし、新潟に「令和初勝利」をもたらした。