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「やってもーたー!全国に恥を…」京都国際の主将が決勝後の控え室で…“テレビに映らない”姿を記者が目撃「選手が明かした校歌のこと」

posted2024/08/25 11:03

 
「やってもーたー!全国に恥を…」京都国際の主将が決勝後の控え室で…“テレビに映らない”姿を記者が目撃「選手が明かした校歌のこと」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今夏の甲子園を制した京都国際ナイン

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中村計

中村計Kei Nakamura

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Hideki Sugiyama

夏の甲子園を制した京都国際。その盤石の強さとともに話題を集めたのが、校歌である。密着した現地記者が見た「監督・選手の本音」とは。【全3回の2回目】

◆◆◆

 京都国際の選手たちが校歌を歌っているときの様子を映像で確認すると、いちおう口は開いているものの、気持ちを込めて歌っているようには見えなかった。

 ベンチ入りメンバーの中で唯一、韓国籍を持つ「1番・レフト」の金本祐伍でさえ、こう言う。

「僕はいちおう歌えますけど、意味はまったくわからないです。ずっと日本に住んでるんで、韓国語はぜんぜんわからないんですよ。こういう学校なんで、(韓国に)興味あるんだろうみたいに思われるかもしれませんけど、正直、特別な意識はないです。僕は野球をやりにきているんで」

京都国際の特徴…なぜ触れられず?

 生徒募集を担当している岩淵雄太によれば、韓国籍の家庭は2パターンあるという。

「むちゃくちゃ朝鮮思想が強くて、家では韓国料理を食べているという家庭。もう1つは普通の日本人と同じような生活をしている家庭。後者の場合は、京都国際に来てからとか、パスポートをとるときに初めて自分の国籍に気づくという場合も多いんです」

 金本もそうだった。

「韓国語、あんまりわからないんで、ありえるとしたらハーフぐらいなのかなって思ってたんです。そうしたら、バチバチでした。ああ、そうなんだ、って。完全にわかったのは高校1年か2年ぐらいのときでしたね」

 大会期間中、少なくとも私の周りには京都国際の校歌のことや選手の国籍に関して質問する記者は誰もいなかった。それは「今さら」だからなのか。それとも、そこに触れてネットが荒れることを恐れているからなのか。それともスタッフや選手への配慮なのか。それはまったくわからなかった。

 ただ、私にも恐れはあった。

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