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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園では「こういうピッチャーがいちばん怖い」プロスカウトも脱帽…93年ぶりベスト8で大ブレイク“島根の公立”大社高・馬庭優太のリアル評
posted2024/08/24 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
今年も大きな盛り上がりを見せた夏の甲子園。京都国際高初の全国制覇で幕を閉じた大舞台だが、中でも「台風の目」となったのが島根・大社高の躍進だった。「32年ぶり出場の県立高」というバックボーンから注目された同校だが、その選手たちを百戦錬磨のプロスカウトたちはどう見たのだろうか。《全2回の1回目/つづきを読む》
大会5日目・第3試合。
大社高(島根)VS報徳学園高(兵庫)。
32年ぶりに夏の甲子園に出場した島根の公立校が、2年連続センバツ準優勝の地元・報徳学園に挑む。
報徳OBも「楽なとこ引いたんやないか」のハズが…?
第2試合から1万人増えて、観客3万8000人。報徳学園応援席からの「圧」はすさまじく、球場全体が報徳学園に「熱」を送っているように感じられた。
「そう、島根の公立校でしょ……聞いたことない学校やし、49校でいちばん楽なとこ、引いたんやないかな」
言ったのは、私じゃない。余裕の笑顔で、うかつなことを口走ったのは、ほかでもない……だいぶ前に卒業した報徳学園OBだった。
その、聞いたことない島根の公立校・大社高が、甲子園の強豪、常連3校をいずれも僅少差のしびれるような試合展開の末に破って、ベスト8に勝ち上がったのだから、たぶん日本中の野球ファンが驚いたのではないか。
今、振り返っても「あっぱれ!」な大奮闘ぶりだったと、胸が熱くなる。
試合開始当初、報徳学園・先発の今朝丸裕喜投手(3年・188cm80Kg・右投右打)の球筋が見たくて、ネット裏スタンド、捕手の真後ろの位置からグラウンドを見下ろしていた。
7球の投球練習、ボールが指にかかりきっていない。持ち味の快速球も変化球も、センバツの時のように、エッジがとがっていない。
1番打者にスライダーをライト前に、2番打者にはフォークの投げ損じを三塁強襲。ヒット2本続けられて、3番打者には四球を与え、バックのエラーも重なって、初回から2点を奪われた今朝丸投手。