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野球クロスロードBACK NUMBER
「執念、魂、根性! これだけです!!」一見すると“昭和的”でもアプローチは“合理的”…夏の甲子園で感じた令和の若手監督「意外な共通項」とは?
posted2024/08/27 06:01
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
京都国際の初優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。史上初の決勝戦でのタイブレークや、今季から導入された飛ばないバットが注目されるなど、今年も多くの話題が生まれた大会となった。振り返れば昨夏の甲子園は、慶應義塾の107年ぶりの全国制覇と「エンジョイ・ベースボール」という言葉が社会現象になった大会だった。そんなエポックメイキングな出来事から1年――昨年からの大きな流れは変わらない中で、今年の甲子園で見られた「変化」とは何だったのだろうか?《全2回の2回目/最初から読む》
1年前の夏の甲子園では、優勝校の慶應義塾や準優勝校の仙台育英が脚光を浴びた。
チーム力の高さはもちろんのこと、指導者たちの「エンジョイ」や「主体性」といった言葉も大きくクローズアップされた。
今夏、目立った指揮官の「表現力」
一方で、その息吹は残しつつも、今夏の監督たちには昨年との違いを感じることもあった。
それが、「表現力」だ。今年はとにかく感情豊かな監督が多かった。
3回戦の早稲田実業戦を延長タイブレークの末に制し、32年ぶりの甲子園で93年ぶりのベスト8を決めた大社の石飛文太は、涙ながらに選手たちを称えていた。
今年の甲子園に旋風を巻き起こした公立校の監督は、チームの躍進について聞かれると力強く答えていたものである。
「執念、魂、根性! これだけです!! 言葉の力は人を動かす。監督の自分が想いを込めて伝えることによって選手が動いてくれるというのはあると思いますし、うちの選手たちは本当にそれを体現してくれています」
並ぶ昭和のフレーズ。しかし、実際のアプローチは令和と言っていい。32年ぶりの甲子園で地元・出雲から期待を寄せられるなか、監督は選手たちにこう言い続けた。
「“32年”とか背負わなくていいから」