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甲子園決勝戦でも「タイブレーク制は必要なのか」問題…現場の監督たちが語ったホントのトコロ「ムリヤリ“敗者”を作る必要はないのでは?」

posted2024/08/25 17:00

 
甲子園決勝戦でも「タイブレーク制は必要なのか」問題…現場の監督たちが語ったホントのトコロ「ムリヤリ“敗者”を作る必要はないのでは?」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

史上初の甲子園決勝でのタイブレーク決着となった今年の夏の甲子園。SNSなどでは賛否両論あふれた新システムだったが、現場の指導者はどう受け止めたのか

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Hideki Sugiyama

 史上初のタイブレーク決着となった関東一(東東京)と京都国際(京都)による夏の甲子園決勝。最終盤まで競り合った白熱のゲーム展開だっただけに、9回を終えてのタイブレーク制にはSNSをはじめとして賛否両論、多くの意見が上がった。では、全国の頂点を決める一戦での新システム導入に、現場の監督たちはどんな思いを抱いたのだろうか?《全2回の1回目/つづきを読む》

 京都国際高VS関東一高。

 夏の甲子園の決勝戦が、後半になっても、0対0の均衡がなかなか破られない。

 京都国際、先発の3年生左腕・中崎琉生がパワフルな投げっぷりでジャストミートを許さず、関東一高も、緩急でタイミングを外すテクニシャンサウスポーの畠中鉄心から、快速球とチェンジアップで圧倒する坂井遼につないで、互いに一歩も退かない緊迫の攻防が続く。

甲子園史上初となった「決勝でのタイブレーク」

 ふと、テレビ中継のアナウンサーの声で、

「タイブレークという可能性も出てきました」

 そんな実況が聞こえてきたから、「エエッ」と思った。

 甲子園の決勝戦にも、タイブレークがあるのか?

 恥ずかしいことに、知らなかった。

 不勉強を恥じた。

 さすがに、甲子園の決勝だけは「延長ではっきり白黒つけるんだろう」。理由もなく、勝手にそう決めつけていた。

 昭和のど真ん中あたりで高校野球に励んでいた者として、「夏の甲子園決勝の延長戦」には、忘れがたい場面がある。

 松山商業VS三沢の延長18回引き分け再試合(1969年)である。数十年経った今でも、繰り返し映像として流される球史に残る「熱闘」であった。

【次ページ】 ある監督の「甲子園はお祭りでいい」の言葉

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京都国際高校
中崎琉生
畠中鉄心
坂井遼
関東第一高校

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