甲子園の風BACK NUMBER
「冷や汗かきっぱなしですよ」元巨人ドラ1→東海大相模監督・原俊介がイチローの前で…今ドキ球児に何を伝えるか「そこを高めなければ、と」
posted2024/07/09 11:01
text by
大利実Minoru Ohtoshi
photograph by
Minoru Ohtoshi
日常生活を整えることが野球の上達につながる
東海大静岡翔洋から、野球部の監督として誘いを受け、迷うことなく快諾。2004年夏を最後に、甲子園から遠ざかる翔洋の再建を託される形になった。
「技術指導よりも、生活指導をしっかりとやってほしい」
就任時、村上英治校長から送られた言葉である。生活があっての野球であり、学校があっての部活動。その順番を間違えないこと。原監督自身も、大切にしてきた考えだった。高校時代の恩師・村中監督からは、生活と野球のつながりを何度も何度も教えられた。
「掃除、挨拶、整理整頓。身の回りを整えていくと、心が落ち着き、どっしりと練習に打ち込める。高校生ながらにそれを感じることができたのは、村中先生のおかげです」
巨人に入団後、寮内を裸足で歩いていると、寮長から「アスリートは靴下を履きなさい。足元から冷えがくる。何かに引っかけて、爪が剥がれるようなアクシデントを防ぐこともできる」と指導を受けたこともある。些細なことだが、日常を整えることがグラウンドでのパフォーマンスにつながることを、周囲の人に教えてもらった。
東海大静岡翔洋に赴任後すぐに始めたのが、朝の時間を使った校内の掃除だった。野球部員が隅々まで環境を整えることで、学びやすい空間を作る。誰かのために時間を使うことで、心を整える狙いもあった。
原監督自身は朝早めに職員室に入り、掃除機をかけることが日課になった。コピー用紙の枚数を常にチェックして、教職員が働きやすい環境を作った。
学生野球資格制度の研修会にイチローが
2018年、2019年には、「学生野球資格回復制度」の研修会において、幾多の名選手の前で講師を務めた。