甲子園の風BACK NUMBER
「冷や汗かきっぱなしですよ」元巨人ドラ1→東海大相模監督・原俊介がイチローの前で…今ドキ球児に何を伝えるか「そこを高めなければ、と」
text by
大利実Minoru Ohtoshi
photograph byMinoru Ohtoshi
posted2024/07/09 11:01
巨人ドラフト1位の肩書を持つ原俊介は今、東海大相模監督を務めている
巨人時代の担当スカウトで、高校の大先輩でもある津末英明氏もいれば、二軍監督として教えを受けた高田繁氏、さらには2019年にはイチロー氏もいた。
「壇上に立つ前に、『本日お話をさせていただきます。よろしくお願いします』と挨拶回りをしていました。もうずっと冷や汗をかきっぱなしですよ」
プロ野球関係者に、一番伝えたかったことは何か。
「学校生活があっての部活動。元プロが高校野球を教えるようになると、『技術を教えるのでしょう?』と思われるんですけど、そうではなくて、生活が何より大事。授業を落ち着いて受けられない生徒は、グラウンドでも集中力が切れやすい。そんなことをお話させていただきました」
ある程度の失敗を許容して捉えられるようになった
学校ではクラス担任を受け持ち、寮では野球部員と寝食をともにした。
2021年夏まで指揮を執り、春の優勝が1度(2017)、準優勝が1度(2018)。夏は就任最後の年に初めて決勝に勝ち進み、準優勝を遂げた。
「就任した当初は、どうしても求める目線が高くなって、『何でこれができないのか』と感じることが山ほどありました。高校生なので、できないのが当たり前。ぼくが目線を下げて、ひとりひとりの生徒に合った指導を考えていかなければいけない。ある程度の失敗を許容して、『失敗こそ成長のために必要なこと』と捉えられるようになったことが、自分自身の成長だと思います」
甲子園には届かなかったが、選手とともに熱く激しく戦い続けた。原監督が始めた校内の朝掃除は、今も野球部の伝統として続いているという。
巨人の寮長から教わる18歳時から、自身が伝える側に
東海大相模に移ってからも、選手に伝え続けているのは自ら生活を整え、環境を作ることの大切さである。最初に教えたことは、素足でサンダルを履く寮生に対して、靴下を履く重要性だった。