プロ野球亭日乗BACK NUMBER
村上宗隆も山川穂高も指摘した「飛ばないボール問題」その真相を選手に直撃! 多くの打者が証言した感覚とは…なぜここまで本塁打が減るのか?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/06/28 17:15
セパ両リーグで本塁打トップのヤクルト村上宗隆とソフトバンク山川穂高。両者とも「飛ばないボール」について言及していた
こうした個別包装の方法や保管する箱の変化がどれくらいボールに影響を与えているのかは、明確ではない。2度の保管方法の変化と本塁打の減少が偶然に一致しているだけかもしれない。ただ保管方法や保管場所の環境によって、ボールの水分含有量を含めた質の変化が生まれることはある。湿気を含んだボールが飛ばなくなる、というのも紛れもない事実なのである。
メジャーではかなり厳密に湿度と温度管理をした倉庫で試合球は保管されているが、日本ではそこまでボールの品質保持のための環境が整っていないのが現実だ。
NPBも「違反球問題」を経て厳しい検査を行なっているので、ボールそのものが規定外ということは考えづらいが、それぞれの球団で保管されている試合球の検査を行なっているわけではない。となれば事前検査は通過していても、実際にゲームで使用するときには、そうした外的影響で反発係数などの数値が変化している可能性も否定はできないところだろう。
いま日本のプロ野球は、極端に本塁打が減少して、ボールが飛ばないという現実を目の当たりにしているのである。原因究明のためにも、NPBは一定の頻度で各チームで保管している試合球のサンプリング検査などに乗り出すことも必要ではないだろうか。