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村上宗隆も山川穂高も指摘した「飛ばないボール問題」その真相を選手に直撃! 多くの打者が証言した感覚とは…なぜここまで本塁打が減るのか?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/06/28 17:15
セパ両リーグで本塁打トップのヤクルト村上宗隆とソフトバンク山川穂高。両者とも「飛ばないボール」について言及していた
「やっぱりまだボールが飛ばない感覚はあります。交流戦でも『いった』と思った打球が失速する。守っていても、打球が意外と伸びなくて塀ぎわで落ちてくることが何度もあった」(外野手A選手)
「僕はそんな大きいのを打つバッターではないので、打席ではあまり実感はありませんが、(投手のボールを)受けていて、ときどき思ったより飛んでないなと感じることはあります」(捕手B選手)
「いまも当たった感じの割に飛んでいないなというのはありますね。ただ、きっちり捕えた打球はスタンドまでいく。ちょっと詰まった感じの打球が極端に飛んでいないことがあります」(外野手C選手)
「相変わらずいまも飛んでないですね。コーチスボックスで『行った!』と思った打球が思ったより飛んでいなかったり、外野を抜けたと思った打球が、捕球されてしまうケースもあります」(三塁コーチャーを務めるDコーチ)
打者の多くはいまだに「ボールが飛ばない」感覚があるという証言をしている。
なぜここまで本塁打数が減少しているのか?
現在、NPBで使われる試合球(統一球)はミズノ社製で中国の工場で製造されたものを輸入。NPBが納品前、シーズン中も定期的に大きさ、重さ、縫い目の高さ、反発係数などが規定範囲に収まっているかを検査して使用されている。基本的にこの段階でボールそのものが規定外であるとか、検査に不正や誤差があるとは考えづらい。
それではなぜここまで本塁打数が減少しているのか。理由として投手の平均球速のアップや変化球の精度や種類など技術的な向上を指摘する声もある。
そこで投手にも話を聞いた。
「僕は飛ばないという感じは全くないですね。芯でしっかり捕えられた打球はホームランになっているし、むしろやっぱりいまはリリーフ投手でも150km台の真っ直ぐを投げたり、そういう投手の力が相対的に上がっていることがホームランの減少につながっているんじゃないですか」(E投手)
また在京球団のF投手は「ボールが飛ばないという実感はない」と断言していたが、その一方で気になることを語っている。
「ボールによって均一性がないような気がします。特に今年、気になるのは何か、ちょっとブヨブヨした感覚のあるボールがあることですね。たまにそういうボールに当たるときがある」
ボールの交換を求めるケースも…管理方法が変わった?
前出のB捕手もボールの均一性がなくなっているということについては「確かにそれはあるかもしれないですね。ボール交換した直後にピッチャーが、『これ代えてくれる』と改めて、また交換を求めるケースが時々ある」とも証言しているのである。
こうした証言を聞いて、1つ気になることがあった。