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暴走族ヘッドの説教、女性警官が取り調べで涙…“札付きのワル”愛甲猛はなぜ甲子園のスターになれたのか?「野球がなければ間違いなくソッチの道に」

posted2024/06/28 11:04

 
暴走族ヘッドの説教、女性警官が取り調べで涙…“札付きのワル”愛甲猛はなぜ甲子園のスターになれたのか?「野球がなければ間違いなくソッチの道に」<Number Web> photograph by AFLO

1978年夏、甲子園のマウンドに立つ横浜高校1年時の愛甲猛(当時15歳)。将来を嘱望されていたが、直後に野球部から失踪してしまう

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長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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ケンカ、ギャンブル、野球部からの失踪、警察官による取り調べ……。高校時代、並外れた才能を持ちながら“札付きのワル”でもあった愛甲猛が、道を踏み外さずに野球に打ち込むようになった理由とは。23人の「異端な野球人」に直撃した『プロ野球アウトロー列伝 異端の男たち』(大洋図書)より、一部を抜粋して紹介します。(全2回の1回目/後編へ)

札付きのワルだった学生時代

 あまたある「野球本」の中で、愛甲猛の処女作『球界の野良犬』(宝島SUGOI文庫)ほどインパクトのある一冊はない。帯には「暴走族、アンパン、失踪、暴力、野球賭博、筋肉増強剤球界“出禁”上等!」と書かれている。そして、これらのフレーズはまったく誇大表現ではない。すべてが事実なのである。

 1ページ目「はじめに」の冒頭2行を引用したい。

 ケンカ、ドラッグ、ギャンブル、そしてドーピング。
 すべてが野球の肥やしになると信じて、やりたいことをやってきた。

「コンプライアンス遵守」をお題目としている令和の現在から見れば……、いや、そもそも昭和の時代を含めて、ケンカ、ドラッグ、ギャンブル、ドーピングが「野球の肥やしになる」と考えられていた時代は古今東西、未来永劫一切ない。断言できる。

 この本について、愛甲は淡々と振り返る。

「ヘンに遠回しに書いたり、脚色したりする方がトラブると思ったんで、他人から聞いたことじゃなく、自分が見たこと、実際に体験したことを素直に書いただけ。だから、誰からも訴えられてないし、トラブルにもなっていないですよ。いや、そもそもオレが実際に書いたわけじゃなく、ライターさんにしゃべったものだけどね(笑)」

 中学時代、そして甲子園でスターとなった横浜高校時代、いずれも愛甲は自他ともに認める札付きの「ワル」だった。

「だけど、オレだけが突出してワルだったわけじゃなく、オレより悪いヤツはみんな野球部を途中で辞めていっただけ。でも、もしもオレが野球をやっていなかったら、間違いなくソッチの道に行っていたよね」

【次ページ】 野球部から失踪し暴走族に…女性警官は取り調べで涙

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