なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
我が子を抱いてピッチへ「ごめん! 仕事なんだ!」元なでしこがママのスイッチを切った“職場復帰”ウラ側「ギャン泣きを聞きながら…」
text by
岩清水梓Azusa Iwashimizu
photograph byMiki Sano
posted2024/06/08 06:03
なでしこジャパンやベレーザの名DF岩清水梓。息子の聖悟くんとピッチで嬉しそうな表情を浮かべる
やはりスタメンとしてピッチに立つという、選手としての責任感のほうが自分のなかでは大きいのだと実感した。
「ごめん!仕事なんだ!」ママのスイッチを…
集合写真を撮り終え、息子を竹中さんに引き渡す。すると、ママから離れたくない息子が途端に大声を上げて泣き出した。
もちろん後ろ髪を引かれる思いだったが、そこは試合に集中するために、竹中さんには「なるべく早く部屋に入れてください」と耳打ちし、遠ざかる息子のギャン泣きを聞きながら「聖悟、ごめん! 仕事なんだ!」と自分の心に言い聞かせ、ママのスイッチを完全に切った。
試合は、4−0で快勝だった。
自分の子どもと試合会場に行き、ギリギリまで一緒にいて、そのまま試合に出る。自分のサッカー人生でこんな世界があるなんて、まったく想像していなかった。そしてこれが、この先の日本女子サッカー界の標準となったらどんなにいいだろう、と思うのだった。
<各回からつづく>