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6投手で完全試合も「山本(祐大)がよかった」井端弘和監督が語る“陰の立役者”とは? WBC後の世代交代…侍ジャパン捕手に求められるモノ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/10 17:01
欧州代表との強化試合で「完全リレー」を達成した侍ジャパン6人の投手陣。(左から)松山晋也、渡辺翔太、金丸夢斗、中村優斗、隅田知一郎、種市篤暉…井端監督は先発マスクをかぶった山本祐大捕手を評価した
日本代表の捕手といえば2019年に優勝したプレミア12から甲斐拓也捕手(ソフトバンク)の時代が長く続いた。バズーカと呼ばれる強肩と抜群のコミュニケーション能力で、21年の東京五輪では金メダル獲得の陰の立役者として、当時の稲葉篤紀監督も絶大な信頼を寄せた存在だ。
そして昨年の第5回WBCでも、栗山英樹監督はその甲斐に、中村悠平(ヤクルト)、大城卓三(巨人)両捕手を加えた3人捕手態勢で大会に臨んだ。本大会に入ると準決勝までの6試合は甲斐が3試合、中村が3試合に先発。ただ迎えた決勝の米国戦で、栗山監督が先発マスクに指名したのは中村だった。
「WBCという大会を経験して、代表チームの捕手に求めるものが少し変化したようにも思います」
こう語るのは19年のプレミア12から侍ジャパンのバッテリーコーチを務めてきた村田善則コーチだった。
捕手の打力も重要な要素に
「もちろんまずは捕手としての洞察力、キャッチングやブロッキングの技術、リードという守備面の力というのが求められます。ただ、だんだんバッティングの比重が高まってきている。特に今回のWBCではアメリカ代表に勝つためには、捕手の打力というのも大事な要素になっていたと思います」
栗山監督が決勝で中村を選択した1つのカギがそこにあった訳である。
そして昨年11月の「アジアプロ野球選手権」から連続での代表戦出場となった坂倉将吾捕手(広島)も打てる捕手としてプレミア12に向けて歩を進めている選手と言えるだろう。
坂倉は、外野や一塁などを経験した後に23年シーズンは改めて正捕手として固定されたが、やはり魅力はバッティングだ。オーバーエージ枠で選出された「アジアプロ野球選手権」では全4試合中3試合で先発マスクを被り、決勝の韓国戦では5番を任されるなど打てるキャッチャーとしての期待が高い。
今回招集された3人の捕手の評価
同じく昨年の「アジアプロ野球選手権」から連続招集となった古賀悠斗捕手(西武)は、森友哉捕手の移籍で主戦となった23年シーズンにリーグトップの盗塁阻止率4割1分2厘をマークした強肩が売り物だ。