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大躍進の“親友”と比べられ…「『お前も早く一軍で投げろよ』という言葉が一番刺さった」DeNA《2021年ドラ1》小園健太が期す「3年目の覚醒」
posted2024/02/13 06:00
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
ミットを叩く音が心地良い。
宜野湾春季キャンプの第2クール初日だった2月6日、ライブBP(実戦形式の打撃練習)にトップで初登板した小園健太は、先頭打者だった松尾汐恩から空振り三振を奪い、その後、林琢真、牧秀悟ら計6人の打者をストレートで押し、無安打に抑える投球を披露した。
「変化球を確かめたいというのもあったんですけれど、投げる前にキャッチャーの方とストレートで押していこうと話をしていて、基本的にストレートで押していけました。
コントロール自体はアバウトでしたけれど、ゾーンの中にはしっかりとコントロールできていたと思います。バッターの反応を見ても、ボールの下を振っていた感じがありました。ゾーンの中に強い真っすぐを投げることをテーマにしていたので、その点は良かったです。いい時のファウルの取り方もできていたと思います」
投じた球数は24球。「そのうち思い通りの球は1/3くらいだった」と本人は振り返るが、この日計測した最速144kmのスピード以上に球の走りを含め全体的に感触は悪くなかったように映った。
「今日は2球いい球を続けて投げられても、次の球が上ずったり引っ掛けていたりしました。その辺りは課題です。再現性をもっと上げていかないといけないですね。しっかり思った通りのリリースができた時は、バッターも予想通りの反応をしているというか、いい球がいっているので、その割合をもっと増やしていかないといけないと思いました」
時には自分を戒め、時には自分を称えるように少し笑みをこぼしながら小園はそう口にした。
2年前のドラ1に感じた「覚醒の予感」
21年ドラフト1位で入団。この日、春季キャンプの実戦の初期段階での第一歩をまずまずの格好で踏み出せたことに、ベイスターズファンからも“ようやく今年は来るか”という明るい声が、かすかに聞こえてくるように感じる。
この2年間、小園はもがき苦しんできた。高卒ながら背番号18を託されたように、入団当時から期待値は高かった。1年目から一軍キャンプに帯同するも実戦登板はなく、その後、身体作りに徹し、トレーニングの日々を重ねた。8月にイースタン・リーグで初登板。短いイニングとはいえ3試合連続で無失点ピッチングを続けたが、体調不良のため戦線を離脱し、その後のリーグ戦での登板はなかった。
市和歌山高校では1年春からベンチ入りし、マウンドにも立った。早い段階から実戦に立って感覚を磨いてきた小園は、投げながら成長するスタンスだ。