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大躍進の“親友”と比べられ…「『お前も早く一軍で投げろよ』という言葉が一番刺さった」DeNA《2021年ドラ1》小園健太が期す「3年目の覚醒」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2024/02/13 06:00
2021年にDeNAからドラフト1位指名を受けた小園健太。勝負の3年目を迎えた大器は、覚醒の片鱗を見せている
悪気はなくとも…「早く一軍で」という言葉が苦しかった
何より苦しかったのは周りの反応だった。
「一番刺さったのは、悪気がないのは分かっていても周りからよく言われた“健太も早く一軍で(投げろよ)”というのが……。ありがたい言葉ですし、応援してもらえているのは嬉しいことですけれど、あの頃の僕からすればすごく傷つくというか、心がえぐられるような感じはありました」
投げて自信をつけるはずが、それができていない。身体作りも大事だが、まだ何もできていない。それどころか、投げ方を模索している最中の自分にとっては酷な言葉だった。
「何もできていなくて、あの時の自分はメンタルが弱くなっていたところもありましたけれど……。全く投げていないのに“一軍は?”とか“いつ投げるん?”って言われても……。そもそも自分もいつ投げさせてもらえるのか分からないですし(苦笑)。今はもう何を聞かれても大丈夫ですけれど、あの頃は辛かったですね」
2年目だった昨季は二軍でチーム最多の16試合に先発するなど83回1/3を投げ、2勝5敗の数字を残した。39与四球とコントロールに課題は残ったものの、マウンド経験を積み重ねられたことは間違いなく“第一歩”だったと言える。
11月中旬からは約1か月間、台湾で行われたウインターリーグに参加した。
「台湾の応援が凄いアウェイの雰囲気でしたけれど、中6日で自分に課せられたイニング数を投げられましたし、真っすぐで三振が取れたのは大きかったです。2戦目からはフォークも安定していて低めに投げられて三振も取れましたし、良い状態で投げることができました」
CPBL(台湾選抜チーム)との試合では、7回を投げ8奪三振をマークするなど、4試合で19回を投げ13奪三振、2勝0敗。防御率1.42とまずまずの成績を残した。
「7割以上が真っすぐで、変化球はフォークと……少しだけカーブを投げたくらいです」
やはりこだわるのはストレート。そのストレートを軸に勝負できたことは、何より大きな自信になった。
最近は、かつて高校時代に握り方を工夫しながら“自己流”で変化球をマスターしたように、カットボールの握り方を変えながら球質を磨くことにも時間をかけている。