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インフル蔓延、虫垂炎まで…それでも青学大が“最強・駒大”に勝てたワケ「圧倒的ピーキング力」の裏にある20年越しの“原メソッド”とは?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/03 06:10
往路優勝を果たした青学大の原晋監督。「駒大一強」とまで言われていた下馬評を見事に覆した
20年かけて作った“原メソッド”の正体
佐藤は当時の心境を明かす。そんな状況でも、チームメイトや家族に励まされて、なんとかスタートラインに立つことができた。佐藤は4年目にして初の区間賞。きっちりと結果を残した。
「箱根駅伝に向けて、20年かけて作った“原メソッド”が正しかったのかなと思います。彼らは最後まであきらめずに努力した。普通はあきらめますよ。12月にインフルエンザで寝込んで、今度は虫垂炎で寝込んだんですから。トラブルがあったなか、よくここまで盛り返しました」
危機に直面しながらも、“原メソッド”で選手たちは本番に向けて調子を上げていった。
また、原監督には新たな気付きもあった。
ポイントとして抑えるべき練習はきっちりとこなすことはできたものの、12月の練習量は、過去6回優勝した時と比べると8割程度だったという。
「早めに疲れが取れて良かったね、っていうような前向きな言葉をかけました」
それは気休めなどではなく、怪我の功名というべきか、12月頭に休養したことが、結果的に良い方に転んだ可能性もある。もちろん今後に検証する必要はあるだろうが、原メソッドのピーキング方法に新たな選択肢が加わるかもしれない。
青学大の勝負強さが光ったが、まだ片道を勝っただけに過ぎない。
「駒澤大学さんも力のあるチームなので、最後まで油断はできない。まずは6区・山下りで2分差以上をキープして、7区、8区、9区、10区とつないでいきたい。直近で良い練習のできた選手を選んでいるので、復路でも後続を離して大会記録で勝ちたいですね」
手綱を締めつつも、原監督の言葉は自信ありげだ。王座奪還を、またしても圧倒的な勝利で飾るつもりなのだろう。