往路2位、“最強”駒澤大に起きていた「3つの誤算」監督＆選手が明かす「太田さん、強すぎ」「僕自身が誤算」「4区で勝ちに…」

　青学大の往路優勝の興奮が少し冷めた芦ノ湖畔――。

　冷たい雨が止み、凍った空気に包まれる中、金子伊吹（4年）が両肩を揺らしながら必死の形相で芦ノ湖のゴールに飛び込んできた。

　両足が痙攣(けいれん)し、体の震えが止まらない。

金子を介抱する鈴木芽吹（左）と篠原倖太朗　©Nanae Suzuki

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4区でさらに差を広げるというプラン

　1位・青学大と2分38秒差。チームメイトが金子の状態を心配しつつ、自分たちの結果を受け入れられないような表情を浮かべている。

　藤田敦史監督は、2年連続の大学駅伝3冠達成を目指して、当日の区間変更で3本柱のひとり篠原倖太朗（3年）を1区に投入して、盤石のオーダーを組んだ。

「1区から3区で、リードし、4区でさらに差を広げるというプランでした」

　だが、駒澤大は思い描いた駅伝を実現することができなかった。

「いくつもの誤算が生じたのが痛かった」

　藤田監督は、厳しい表情でそう言った。

　1区から5区までの区間、駒澤大にいったい何が起きたのだろうか。

金子のゴールを待つキャプテンの鈴木　©Nanae Suzuki

2区で生じた、1つ目の異変

　藤田監督の戦略は、1区では見事にハマった。

　当日変更の篠原が序盤から前に出て先行し、2位の創価大に23秒差、青学大には35秒の差をつけて2区の鈴木芽吹（4年）に繋いだ。

　鈴木は、2区という特性から極端に差を広げることが難しいが、それでも最低でも襷を受けた時程度の時間をキープしようと考えた。権太坂で一度キツくなり、19キロ付近では呼吸が入らない状態に陥った。さらに、ラスト1キロでは藤田監督から「うしろから青学大の黒田朝日（2年）が迫ってきている」と聞き、初めてうしろを意識した。

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