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インフル蔓延、虫垂炎まで…それでも青学大が“最強・駒大”に勝てたワケ「圧倒的ピーキング力」の裏にある20年越しの“原メソッド”とは? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/01/03 06:10

インフル蔓延、虫垂炎まで…それでも青学大が“最強・駒大”に勝てたワケ「圧倒的ピーキング力」の裏にある20年越しの“原メソッド”とは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

往路優勝を果たした青学大の原晋監督。「駒大一強」とまで言われていた下馬評を見事に覆した

 8km過ぎに篠原とレマイヤンに離されたが、その後も冷静だった。残りの距離を考慮しながらペース配分を考えつつも、國學院大の伊地知賢造(4年)を振り切った。それでも、18kmで後方集団に追いつかれた時にはさすがに焦ったという。そんな時に飛んできたのが原監督の声だった。

「いいぞ、いいぞ。荒巻。大丈夫だ。集団と一緒に最後行くぞ」

 そんな声がけに冷静さを取り戻した。

 区間9位だったものの、ハーフマラソンの日本人最高記録を持つ篠原を相手に35秒差に踏みとどまったのは上出来だろう。「実力がまだ足りなかった」と本人は悔しがったが、篠原に離されてからの粘りがその後の快進撃を生んだ。

“花の2区”で区間賞獲得の2年生

 2区の黒田朝日(2年)も今回が初めての箱根駅伝だったが、今季の駅伝では絶好調だ。

 前半は余裕を持ち10km過ぎまで大集団でレースを進めると、後半に入ってペースアップ。5区の準備もしてきただけに、権太坂や最後の戸塚の坂も攻略した。

「66分台で走れればいいかなとぼんやりと思っていたんですけど、区間賞は意識していなかった」

 黒田の区間賞の快走で一気に2位に浮上し、駒大には22秒差に迫った。記録も、昨年度までの大エース・近藤幸太郎(現SGホールディングス)の記録を上回り、2区歴代4位となる1時間6分07秒の好タイムをマークした。

 そして、3区では、“箱根男”の太田蒼生(3年)が見せた。前を走るのが、今回のエントリー選手で1万m最速の駒大・佐藤が相手でも臆することはなかった。

「すごく強い選手だと思っていましたけど、相手が誰であっても関係ない。見える位置なら全部射程圏内だと思って走りました」

 太田は序盤から佐藤を上回るハイペースを刻み、7.6kmでついにとらえる。表情を探りながら10km以上も並走を続け、18.2kmでサングラスを外すと一気に引き離しにかかった。

「スパートする直前に1kmが2分59秒に落ちたので、彼もきついんだなと判断して、そこで仕掛けようと思いました」

 スパート力のある佐藤に先手をとった。

【次ページ】 原監督が語った「勝因」は…?

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