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インフル蔓延、虫垂炎まで…それでも青学大が“最強・駒大”に勝てたワケ「圧倒的ピーキング力」の裏にある20年越しの“原メソッド”とは? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/01/03 06:10

インフル蔓延、虫垂炎まで…それでも青学大が“最強・駒大”に勝てたワケ「圧倒的ピーキング力」の裏にある20年越しの“原メソッド”とは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

往路優勝を果たした青学大の原晋監督。「駒大一強」とまで言われていた下馬評を見事に覆した

 駒大は、前回の箱根4区で先頭に立ってから、今季の出雲、全日本、そして今回の戸塚中継所まで23区間連続でトップ中継してきたが、ここでついに青学大が駒大に先行した。太田は、イェゴン・ヴィンセント(現Honda)の区間記録にも迫り、3区の日本人最速となる59分47秒で21.4kmを走り切った。

 4区の佐藤一世(4年)も快調だった。

「山川(拓馬)君が動いていなかったので、どうしたものかなと思って、10kmぐらいでこれは勝機があるなと思いました」

 原監督は4区の半ばで往路の勝利を確信したという。

 5区でも若林宏樹(3年)が、従来の区間記録を上回り区間2位と好走。駒大に2分38秒もの大差を付けて往路優勝を飾った。

原監督が語った「勝因」は…?

「ピーキングでしょ、今日は」

 原監督に勝因を聞くと、こんな答えが返ってきた。

 実は、12月初旬に部内にインフルエンザが蔓延するピンチに陥っていた。往路を走ったメンバーも、荒巻と若林を除く3人が罹患したという。

 ただし、ピンチに見舞われていたのは青学大に限ったことではなかった。駒大の対抗に目されていた中央大は直前の合宿で風邪が流行り、万全な状態で迎えられなかった。國學院大も12月10日頃にエントリー選手10人ほどがインフルエンザにかかった。両校とも棄権を考えたほどだったという。

 青学大の選手たちが罹患したのはこの2校よりも早い時期だったが、「シード権を取れるかどうかというレベルだった」と原監督も覚悟を決めたほどだった。さらに、主力の佐藤一世はインフルエンザに加えて虫垂炎にもかかり、12月はほとんど練習ができなかったという。

「11月まではケガもせず練習を継続できていたのに、12月に入ってインフルと虫垂炎になり、本当にもう無理かなと心が折れかけました」

【次ページ】 20年かけて作った“原メソッド”の正体

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