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藤原監督「復路の結果次第で自分のその先も考えないと…」“優勝候補の一角”中央大が往路でまさかの大失速のワケ「棄権しようという話も出た」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byYuki Suenaga
posted2024/01/03 06:09
前回大会で“花の2区”区間賞だった吉居大和が15位に沈むなど、中大の歯車は最後までかみ合わなかった
1区区間賞、2区区間賞と箱根駅伝を彩ってきた吉居大にとって、最後の箱根路は昨年11月の全日本大学駅伝での3区11位に続く不振で、不完全燃焼のまま終わってしまった。
「僕は風邪というより、免疫が落ちているなか、疲れがドッと出てしまったのが3日間ほどありました。でもスタート前は順調だったので、そこに関しては関係ないです」
体調不良との因果関係こそ否定したが、結果的にはレース終盤の勝負どころで踏ん張れず、調整の狂いが暗い影を落とした。
「陸上競技を引退するわけではないので、この悔しさを次の舞台で晴らして、藤原監督や、支えてくれた人に恩返しできるようにしたい。マラソンに進むのが僕の最終目標です。今回の結果を踏まえて、そこに向けたプランを考えていかないといけません」
アクシデントへの「プランB」の中身は…?
本番1週間を切った段階でのアクシデントで藤原は善後策を講じていた。優勝を狙いにいく「プランA」が無理なら「プランB」で挑む。今回、実力者のひとりである吉井大の弟・駿恭(2年)を往路で起用しなかった理由である。藤原は説明する。
「駿恭を1区にして、いい位置で、という考えもありましたが、おそらく、1区から3区は速くて(現状では)つけないだろうなと。シードを狙うしかなくなるから、復路に残しておかないと厳しい。切り札として残しました。何とか、6、7、8区でジャンプアップして、9、10区で粘りたい。シードは何とかして獲らないと。1年間の流れが変わりますから」
シード権内までわずか18秒。復路は中央大の意地が試される。藤原は腹をくくる。
「明日の結果次第で、その先のことは自分自身、考えていかないといけない」
今回のような戦いは、負け方が大切である。箱根駅伝史上最多の97回出場を誇る伝統校が脈々と受け継ぐ矜持がある。